20世紀の日本人は、なぜアメリカの黒人から尊敬されていたのか?

 

日系人強制収容を黙って見過ごすのか?

大戦中、日系移民は、米国の市民権を持っている人々までも、強制収容所に入れられた。米国の黒人は大きな衝撃を受けた。

第一に、日系アメリカ人だけが収容され、ドイツ系もイタリア系も収容されなかったのは、あきらかに人種偏見のせいではないか、という点。第二に、アメリカの市民権を持っている日系人さえもが強制収容されるなら、黒人にも同じ事が起こる可能性がある、という点であった。

「11万5,000人もの人々(日系人)が、一度にアメリカ人としての自由を奪われるのを、われわれ黒人は黙って見過ごすというのか」。

ロサンゼルス・トリビューン紙のコラムニストが全米黒人向上協会に呼びかけ、協会の代表はそれを受けて、次のような決議文を提出した。

われわれは人種や肌の色によって差別され、アメリカ人としての当然の権利を侵害されることには断固として反対していかねばならない。

戦後、黒人社会は、収容所から解放されて戻ってきた日系人を歓迎し、温かく迎えた。彼らは、日系人のために仕事を探したり、教会に招いたりしてくれた(同 p140-152)。

歴史上、日本人が持ち得たもっとも、親しい友人

『20世紀の日本人 アメリカ黒人の日本人観』の著者、レジナルド・カーニー博士(黒人史専攻)は次のように我々日本人に呼びかけている。

歴史上、日本人が持ち得たもっとも親しい友人、それがアメリカ黒人だった。…この本を読んでいただければ、日本の政治家や知識人たちが黒人を差別する発言を繰り返したときに、なぜ黒人があれほどまでに怒り悲しんだかを、心から理解してもらえるはずである。

 

かつて、黒人から同じ有色人種として敬われていた日本人。そんな日本人が、今ふたたび、その尊厳と親愛の念を取り戻せることを、私は心から祈って止まない。おごりのない、謙虚な日本人―それが私の願いである。
(同 p26)

文責:伊勢雅臣

image by: Wikimedia Commons

 

Japan on the Globe-国際派日本人養成講座
著者/伊勢雅臣
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