トランプの「アメリカ第一主義」が日本の政権運営に不都合な理由

 

これは、規模を小さくして考えると分かりやすい。例えば、日本のとある小さな町、A町へ「地元ファーストのT町長が誕生する。T町長は、過去の法改正や地域外問題の干渉で、町人生活は活気を失っていると主張、シャッターストリートとなった歴史ある地元商店街の復活を誓っている。

T町長は次のような点を特に問題視している。

  1. これまで、大型店に有利な法整備がされ、多くの地元商店は閉店を余儀なくされ、住人は職を失った。
  2. 他の町から入り込んだ大型店が、外で作った商品をA町内で安売りしている。
  3. これまで、大型店から厚い支援を受けてきた町議会は、地域外の小さな町に対し、同様の法律を整備して大型店が進出しやすくなるよう現地議会に強く働きかけている。
  4. 上の地域外干渉に力を入れるがあまり、町内政治がおろそかになり、町の行政サービスが大きく低下し、市民生活が疲弊している。

これら大型店は全国企業でもあり、社長、重役らは町の商店主と比較して100倍もの報酬を得ている。にも関わらず、住民票を他の町に置き、A町には一切の住民税を納めていない。それどころか、同企業自体、本社を租税回避地に置き、企業内取引によって経費を嵩上げし、ほぼ無税の状態が続いている。金融危機時は町から多額の補助金を受け取りつつ、町外製造を維持する一方で、A町内の雇用は大幅に減らし、契約社員らを社宅から追い出してしまった。その冬、突如解雇された契約社員らはホームレスとなり、年末年始を寒空の公園でやり過ごしたのである。

T町長の政策は大型店を撤退に追い込むことではない。ただ今後は、逃れている税を本来の形で収めさせ、町議会への影響力低減を図り、地元企業や商店、住民に活力を吹き込む「地元ファーストを推進したい考えだ。真面目に一生懸命働いてきた町民が、突然解雇されて冬空の公園で正月過ごすようなことは二度とさせないと誓っている。

まず行うのはいわゆる「地産地消と住人雇用」。大型店のように、他の地方から調達した資材を使用し、他の地域で雇用を増やし製造、それをA町に持ち込んで販売することへは高い税を課す。また、別の地方に住む(他へ住民税を払っている)役員・社員を持つ比率の高い企業に対しても高い税率を考えている。

異例なことに、自ら裕福なT町長は特定の業界団体が輩出した政治家ではない。町長を支持する業界はあるが、氏は彼らと協業してきたわけでもなければ、彼らに属しているわけでもない。よって、彼らの代議代弁を行う使命を背負っていないのがT町長の強みであり、そこに大手メディアが伝えないT町長への強い支持がある。大手メディアは膨大な広告料を払う上客大型店の繁栄を支持していて、町政を住人へ取り戻したいT町長を心底嫌っているようである。

実際に、高齢化が進む日本の小さな町でこれが機能するかは疑わしいが、米国全土にいたっては相当の成果が期待できる。米国には資源を始め、優秀な人材、優れた技術力、そして何よりも「質の高い」市場がある。米国はこれまで毎年、非常に多くの移民を全世界中から受け入れていて、一国にして先進国市場と途上国市場が同時に存在する世界の縮図のような活力がある。トランプ氏の「内向きな政策は短・中期的には有益に働きそうである。

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