あの週刊文春も語りだした、金正恩「暗殺作戦」の現実味

 

北を止める2つの方法

北朝鮮のミサイル実験はますます頻繁に行われるようになっていて、16年には2月から10月までに17回と、ほぼ月2ペースで行われた。選挙中に「北朝鮮と話し合う用意がある」と言っていたトランプが当選したのでしばらく様子を見ていたようだが、今年に入って発射を再開。これらを通じて、失敗に終わった例も少なくないけれども、SLMB(潜水艦発射弾道ミサイル)の水中発射、準中距離のノドン改良型の4発同時発射、ICBM(大陸間弾道ミサイル)用かと思われる新型大出力エンジンの燃焼実験など、それなりに技術の向上が図られていて、このまま進めば数年中にも米本土に到達するICBMを実戦配備することも可能になるだろう。

これを阻止する方法は、大きく分けて2つあって、1つは暴力的手段で金正恩を抹殺し北朝鮮を国家崩壊させることも辞さずに叩き潰すというイラクやリビアに対して行った方式。もう1つは平和的手段で、北が先々代からずっと望んできたように、38度線の休戦協定を恒久的な平和協定に置き換えて国際法上の戦争状態を解消し、相互軍縮と信頼醸成のプロセスを進める中で米朝の国交樹立交渉を開始し、北の「いつ米軍に核攻撃されるのか分からない恐怖心」の根本原因を取り除いてやることである。

言うまでもなく、後者が人の命もお金も無駄に失われることがないベストなシナリオであって、まずはこれを追求することが道理にも(トランプがお好きな)コスト計算にもかなっているはずだが、安倍首相とトランプがそれを話し合った気配はない。とすると、前者の暴力的手段しかないことになるが、これにも実は濃淡があって、最悪なのは、かつてペンタゴンが描いたような全面的な先制攻撃作戦で、これは地下深くまで潜って行って爆発するモグラ爆弾で金正恩を爆殺し、同時に反撃を許さないために700カ所の攻撃目標を設定して司令機能やミサイル基地を一挙に壊滅させるという途方もない戦争シナリオであった。

こんなことがすべて一遍にうまく行くはずがないから、金正恩を殺し損なったり、重要なミサイル基地を潰せなかったり、必ず漏れが出る。すると部分的な反撃のリスクに晒されながら、攻撃の成果を衛星と偵察機で確認しつつ第2波、第3波の攻撃をかけて1つずつ潰していくことになって、恐らく収拾は数週間から数カ月と長引きその分犠牲が出続ける

そこで、上述の(2)(3)で言われているのは、空爆を20~40カ所に限定した上で特殊部隊が突入して金の身柄を押さえるという短期決戦型のシナリオである。そうは言っても(4)で言われるように、漏れの程度によっては「断末魔のミサイル攻撃」を受けて日本でも数万人規模の死者が出る可能性」があるのはもちろんのこと、韓国や北朝鮮では何十万、何百万の人が死ぬことになるだろう。つまりこれは、どちらにしても、まるっきり馬鹿げたシナリオで、安倍側近記者が官邸の誰に聞いたのかは知らぬが、この「斬首作戦」なるものの妥当性を自分の頭で判断することなく、「こんなすごいことが安倍政権中枢で検討されているのだ」と、嬉々として書いているのには呆れ果てる。

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