来春のビール値上げで「居酒屋」離れが加速、いよいよ危険水域に

 

大手ビールメーカーによるビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル)の販売は厳しい状況が続いています。

アサヒビールの2010年度のビール類売上高は8,125億円でしたが、16年度には7,616億円にまで減りました。6年で約6%減少しています。キリンビールは10年度が7,068億円で、16年度は5,664億円です。6年で約20%も減っているのです。

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ビールメーカー各社はもちろん努力しています。しかし、若年層の酒離れや高齢化の進展による飲酒量の減少などを背景に国内のビール類市場の縮小の動きは止まりそうもありません。ビールメーカーの販売量が上向くことは当面ないでしょう。

ところで、ビールメーカーにとって6月の酒税法の改正は都合が良い法改正だったのでしょうか。それとも都合が悪い法改正だったのでしょうか。スーパーなどで安売りできず販売量が減るため、ビールメーカーにとっては都合が悪いようにも思えます。

ただ、必ずしもそうとは言い切れません。収益性が高まるため、酒税法の改正は都合が良い法改正とも言えます。

改正酒税法により小売店の安売り競争が沈静化するため、小売店からの卸売価格の値下げ圧力が減り、リベート(販売奨励金)の支払いを抑えることもできます。そのためビールメーカーの収益性は高まります

居酒屋など飲食店に対する値上げの口実にもなります。改正酒税法を守るための値上げということであれば、多くの飲食店は仕方がないと思うよりほかないでしょう。市場を支配している大手4社による一斉の値上げのため、高くなったからといって他のメーカーに切り替えることができないという事情もあります。

投資家は収益が改善されることを期待して値上げを歓迎しているようです。先鞭をつける形で10月4日に値上げを発表したアサヒグループホールディングスの株価は値上げ発表後に大きく上昇しました。同時にキリンホールディングスとサッポロホールディングスの株価もそれぞれ上昇しています。

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