狂気の沙汰。“恩人”白鵬に「誓約書」サインを強要した相撲協会の差別主義

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「史上最強の横綱」として、実に14年間に渡り土俵に君臨した白鵬。しかしその取り口や言動がたびたび問題視されたこともあり、年寄襲名を巡っては「誓約書」への署名を求められるという異例の事態となっています。稀代の大横綱に、果たしてそのような行為を強要される謂れはあるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、品格騒動の一端となった「万歳三唱呼びかけ」の真相と、相撲の裾野を広げるために白鵬がどれだけ私財を注いできたのかを紹介。さらにこれだけの人物に対して差別扱いを続ける協会と横審を強く批判するとともに、白鵬こそが相撲界に変革をもたらす指導者になるとの見立てを記しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年10月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

日本相撲協会と横綱審議委員会は白鵬への差別扱いを止めろ

横綱白鵬が引退して年寄「間垣」を襲名するについて、日本相撲協会が「大相撲の伝統文化や相撲道の精神、協会の規則・ルール・マナー、相撲界の習わし・しきたりを守り、そこから逸脱した言動を行わないこと」などとする異例の誓約書に署名することを強要したというニュースほど、近頃不愉快なものはない。

2位の大鵬を大きく上回る歴代最多の45度の優勝を果たし、横綱として務めた14年間に899勝、それ以前からの通算で1,187勝を上げた「まさに不世出の横綱」(東京新聞連載、1002「無双の横綱」)である。しかもその14年間には、角界に八百長疑惑だ内紛だ何だとスキャンダルが相次いで桟敷に閑古鳥が鳴くかと思われた時期もあり、そこを一人踏ん張って支えてくれたのが白鵬ではなかったのか。特別表彰状でも授与して感謝を表すならともかく、「これに違反したら年寄資格も剥奪するからな」と脅迫するに等しい誓約書に署名させるなど、狂気の沙汰である。

相撲は、寺社に奉納される古来からの「神事」であり、ヤクザが仕切る江戸時代に隆盛した「見世物興行」であり、また明治以降になると富国強兵策の一環として推奨された青少年の健全なる「スポーツ」でもある。これはどう考えても折り合いがつかないアンビバレントな3次元方程式で、さあて、相撲協会が言う「伝統文化や相撲道の精神」とは具体的には何のことなのか。どうもそれはとんでもなく崇高なるものであるらしいが、八角理事長はじめ親方衆の一体誰がそれを忠実に体現しているのか。

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