強引に中国を絡めてくる読売。ミャンマー総選挙を各紙はどう報じたか

 

国民はNLD候補者の大半が嫌い? 《毎日》

【毎日】は1面トップと解説記事「クローズアップ2015」でミャンマー総選挙を取り上げる。1面トップの記事は基本的な情報に加えて、日本や米欧、国連などからの選挙監視団についても記している。

3面記事は「変革求めた国民」との見出し。リードは、国民の心を捉えたのは「…テインセイン大統領が訴えた「着実な民主化改革の継続」ではなく、スーチー氏が掲げた「チェンジ変革)」だった。今の焦点は、NLDが政権を奪取できる議席を獲得するかに集約される」という。

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3面記事本文は刺激的な書き出しだ。ミャンマータイムズという地元紙の政治部キャップの話で、「正直、国民はNLD候補者の大半が嫌いです」というのだ。続けて「NLDという組織も魅力的だとは思っていない」。ええ? という感じだが、それでも、変革を求めるという一点で、多くの国民がNLDに投票したのだという。

その意味は、NLDにはろくな候補者がいなかったが、軍政や疑似軍政のような現政権よりはマシと判断したということのようだ。スーチー氏自身、遊説の際には「候補者個人ではなく、党の名前で投票してくれ」と繰り返し、候補者は「玉石混淆。当然教育する」と公言したという。また、その候補者に対しては、「メディアの個別取材に応じてはならない」と「箝口令」まで敷いたという。《毎日》は候補者にも直接取材していて、公募で選ばれた27歳の女性は現役の学生。政治囚として2年間服役した経験があるというが、箝口令については「微妙な時期なので仕方がない」と言っているらしい(この女性に対する取材は細かくやっているはずだ。もっと具体的な答えが欲しい気がするが、何か支障でもあるのだろうか)。

《毎日》の記事は、NLDが過半数に達しなかった場合の連立相手まで探っている。与党の一員でありながらスーチー氏との関係が深かったシュエマン国会議長が有望だったようだが、落選してしまい、無理になってしまった。

以上、《毎日》は取材に基づいてなかなか興味深いユニークな記事を書いている。どうやら、ミャンマー政治につきまとう「不安」は、軍の出方だけではないようだ。

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