強引に中国を絡めてくる読売。ミャンマー総選挙を各紙はどう報じたか

 

真の民政移管へ

【朝日】は1面トップと2面の解説記事「時時刻刻」でミャンマー総選挙を取り上げている。

1面記事は基本的な内容に加えて、スーチー氏は経済的には現政権の改革開放政策を踏襲するとみられること、国軍最高司令官は現大統領とともに「民意の尊重」と繰り返して発言しており、新政権誕生の公算が高まっていることを伝えている。

2面の「時時刻刻」は見出しが「民主化前進 望む民意」となっている。「時時刻刻」らしく、NLD本部に集まってきた人々への取材をドキュメンタリー風に綴りながら、62年のクーデターに始まる国軍中心の政治と、それに対抗した民主化運動の歴史を織り込む。

88年の民主化運動とスーチーさんの軟禁、NLDメンバーの逮捕・投獄、NLDが8割の議席を得た90年の総選挙を無視した軍政、その後15年に及ぶスーチーさんの軟禁、2007年、僧侶らによる反政府デモと軍による弾圧

スーチーさんは「国民和解に基づく政府が必要だ」とし、他方、国軍司令官は民意の尊重の意向を示す。選挙後も影響力を維持する国軍がどう出るのか。不安は払拭されていないとし、最後にスーチーさんの「勝利を祝うにはまだ少し早い。敗者を刺激しないことが大切だ」という言葉を引用する。

uttiiの眼

《朝日》は、「軍政に対する民主化運動」という枠組みを一歩も出ずに、この問題を扱いきろうとしているように見えた。スーチーさんという存在、長年の軍による圧政、民政移管したといっても軍の影響下にある現政権…そうした要素を考えていけば、記事は当然そうなってくるだろう。もちろんそのことに合理性はある。だが、それだけでは済まない気もする。
※ 《毎日》、《東京》などのところを参照のこと。

また、ミャンマーの軍政下では、逮捕・投獄だけでなく、治安機関による暗殺も横行したと認識している。その部分は、「軍を刺激する」ので書かないということなのか。気になった。さらに、2007年に日本人ジャーナリスト長井健司さんが取材中に射殺される事件があったが、忘れてしまったのか、書いていない(これらについては各紙とも書いていない)。

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