強引に中国を絡めてくる読売。ミャンマー総選挙を各紙はどう報じたか

 

ただの政治家?

【東京】は3面の解説記事「核心」の右手に、基本的な内容を伝える記事を置き、3面のほぼ全体をミャンマーに当てた。「核心」の見出しは「軍主導政治に国民『ノー』」。現在のテインセイン政権を「軍主導政治」と位置づけている。

リード末尾には「政権与党となれば、真の民主化を目指したスーチー氏の悲願達成も目前だが、軍との関係構築や宗教対立の解消など困難な課題も待ち受けている」とある。
※ 「宗教対立」はロヒンギャの問題を指す。後述。

冒頭はスーチーさんの「私は大統領より上の存在になる」発言。その背景については、「大統領でなくても実質的に国家運営を主導する意欲を示し、選挙で上下両院の過半数を得られれば、スーチー氏に政権を託しても大丈夫だと有権者に伝えることにあったとみられる」とする。

2011年民政移管後のテインセイン政権は、政治犯の釈放や経済の対外開放などの改革を実施。それでも元軍人らが中枢を占める政権は国民にとっては「軍政と同じ」であり、軍人が私腹を肥やす実態も知れ渡ったという。

uttiiの眼

リードに出ていた「宗教対立」とは、少数民族ロヒンギャの問題。スーチー氏はロヒンギャを積極的に擁護しなかったところから、「もはや民主活動家ではなく、ただの政治家だ」と批判する向きもあるという。宗教問題であると同時に少数民族問題。「治安」を理由に選挙の投票がなかった7つの選挙区の問題もある。こちらの少数民族は長年武装闘争を続けている。

確かに、私たちの眼にも、スーチーさんが「ただの政治家」と映るときがやってくるのかもしれない。その時には、日本がこの国とどう関わっていくのかという大問題が具体的に浮上しているときでもあるだろう。2週間後、あるいは来年の2月3月には、ミャンマーからどんなことが伝わってくるのか、また各紙はどう伝えるのだろうか。

image by: 360b / Shutterstock.com

 

uttiiの電子版ウォッチ』2015/11/10号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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