下町ロケット並みの気概は何処へ。マンション業界はプライドを失った

shitamachi
 

大人気ドラマ「下町ロケット」。そのファンの1人というメルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、昔は皆が「佃製作所」の社員のような気概があった建設現場の意識がなぜ低下してしまったのか、その理由を明かしています。

「下町ロケット」に感動!

こんにちは! 廣田信子です。

「下町ロケット」に感動しています。直木賞受賞の時、本で読んだと思うのですが、今回のテレビドラマはまた別もので毎回感動をもらっています。

ちょうど、傾いたマンション杭のデータ不正流用問題と並行していたので、余計に、いろいろな思いが重なりました。

「佃製作所」の人たちのモノづくりに対する情熱と誇りに感動し、あんな風に働いてみたいと思った方も多いのではないでしょうか。

科学の発展や技術を極めることは人を幸せにするためにある。その当たり前のことを私たちに思い出させてくれます。

その対極として、大企業の横暴、利益至上主義の残酷さや狡猾さが描かれています。その中で、流される人の姿も印象的です。

組織を守ることしか考えられない人、厳しい出世争いの中で、上の意向しか見えない人、自分を守るため、弱者を切り捨て、人を陥れても心が痛まない人、困難な状況や不満に絡めとられて、甘い誘惑に負けてしまう人。

ヒール役の彼らが、組織の中でも、外部との関係でも、常に勝たなくてはならないと追い詰められ(自分で追いつめているのですが…)良心を押し込めてしまっている…実は弱い人間であることも描かれています。

どんな困難な状況になろうとも自分の夢を持ち続け、人に喜んでもらうために働く喜びを知っている人ほど強いものはない…その姿をみせてくれます。

傾きマンション問題に端を発したマンション開発、建設業界の信用にかかわる今日の事態、関わっている人たちはどんな気持ちで仕事をしていたかに思いが行きます。

ものをつくる誇りは…人を喜ばせるために働いている実感は…。

家造りの原点である、そこに暮らすことになる人の生活や喜ぶ顔は、現場でマンションを造る人にとってまったく無縁のものになってしまっています。納期や予算にがんじがらめの日々の中で、ものづくりの誇りは飛んでしまいます。

今回のことが、会社の利益のため、仕事を失わないためという自分たちの大義のために、みんなが少しずつ真実や良心から目をそむけた結果だとしたら…。

誰か、個人や特定の会社が責められるのではなく、膿を出して業界が変わってほしいと願います。だから、ものづくりの現場にいる人たちをこれ以上疲弊させるような対策はとってほしくないのです。

今回のことで、国の監視体制は強化されるのでしょうが、それが本当に問題解決になるんだろうか…と。

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