だってしょうがない?泣く子も黙る「スマホ子守」で失われるもの

 

ただ、気を付けておきたいのが、「便利に時間をつぶさせているうちに、大切な時間まで失ってしまう」という危険。

最初の例でいえば、それは親子の会話のチャンスかもしれません。中学生くらいの年頃は、男の子と母親がゆっくり話し合うことが難しくなってくる時期。移動中のちょっとした時間は、普段は聞くことのできない子どもの声を聞く絶好のチャンスなのです。電車だと横並びに座ることになりますが、向かい合わせではなく同じ方向を向いて隣り合わせになっていることも、話しやすい状況です。

2番目の例では、もしかしたら、この子はまだお腹が空いていなかったのかもしれません。もともと食べることに強い関心のないタイプだった可能性もあります。ですが、「食べる」ことは、生きるための基本的な欲求のはず。食事への意欲が失われていることは、注意すべきシグナルと捉えるべき。

子どもの「食べる」ことへの関心さえ、ゲームで塗りつぶされてしまっているのでは…と怖くなったのが、正直な実感です。

最後の例については、親の気持ちもよくわかります。小さい子どもを連れての買い物は、確かに面倒です。勝手に商品に触ってしまったり、「買って~」攻撃が始まったり。しかもそれが3人ですから、遠ざけておきたくなるのも仕方ありません。

ですがその一方で、その「面倒な時間」は、子どもが我慢することを覚えたり、世の中のルールを身に付けたりする時間でもあるのです。また、生鮮食品を見ながら季節感を養ったり、お金でモノを買うという社会の仕組みを見て学ぶ経験でもあります。

子育てには面倒なことが多いですよね。思い通りにならないことばかりです。工夫してもすぐには成果が出ないことも多いうえに、そもそも努力が報われるとも限りません。

だから、そういった苦労を避けたいと思うのは自然なこと。子どもにゲーム機・スマホを触らせておけば、「待ち時間」だけでなく、これらの面倒・苦労からも解放されることができます。

でも、それらの「面倒」なコミュニケーションの1つ1つが、子どもの成長を支える大切な経験になっている――ということにも気が付いておいてあげてください。ゲーム機・スマホに子守をさせていては、そういった経験が失われていく――という危機感も、忘れないでください。

「ゲーム・スマホ禁止」

「いつも親が我慢して、苦労して、子どもに付き合う」

ではありません。親の心身のコンディションを良く保つことは、子どものためにも最重要です。決して無理はしないで。可能な限り親の側に余裕が持てるように準備して、子どもとの時間を過ごすことを意識して新しい年を迎えていただけたら、私もとてもうれしいです。

image by: Shutterstock

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