妊娠中に魚を食べすぎると、子供が肥満になるー欧米研究結果

2016.02.22
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妊娠が魚を摂取することについて、最新の研究結果が海外メディアで報じられました。世界の研究者たちが出した結論には、メリットだけでなく「デメリット」もあるようです。

妊娠時の魚摂取は、胎児の脳の発達を促進させる?

「妊娠中に魚を食べると胎児の脳に良い影響を与える」

2016年1月、タイムズ誌はスペインで2000人の妊婦を対象におこなわれた調査をもとに、魚の摂取が胎児に与える効果について報じました。

調査結果によると、週に3回、量にして約600グラムの魚を妊婦が摂取した場合、生まれて来る子どもの認知力を高め、ASD(自閉症スペクトラム)の発生率を低下させる効果があり、IQスコアも通常より2,8ポイント高いという結果が出たということです。

また、DHAを多く含む脂質生の高いマグロなどの魚を食べた場合の効果が特に高かったという研究結果も。

DHAはニューロンや細胞膜の発達を促すので母親の胎内で脳の発育が進行している期間は特に効果的」と、バルセロナの環境疫学の研究者は述べています。

しかし同時に、魚に含まれる水銀は悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取する頻度はあくまでも週に2〜3回程度にとどめることを推奨しています。 

魚を食べすぎると子どもが肥満に?

一方で、「妊娠中に魚を食べ過ぎると子どもが肥満になる」という研究結果も議論されています。

FOX 6 NOWは、妊婦が週3回以上魚を摂取すると、生まれた子どもは最初の2年間の成長速度が通常より早まり、肥満になる可能性があるという研究結果を報じました。

ギリシャのクレタ大学のレーダ・チャチ氏は、ベルギー、フランス、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、アメリカの2万6184人の妊婦と、その子どもたちの6歳までの発育状況を調査しました。

魚を週3回以上食べた妊婦の子どもは、2歳、4歳、6歳の時点で、母親が魚をあまり摂取しなかった子どものケースと比べて、肥満の程度を示すBMI値が高かったようです。

また、女児の場合はその傾向が男児の場合よりも顕著であったとも述べています。

しかし、研究は進行段階にあり、魚の種類や調理法、魚が育った水源などが、どのように作用していくのかはまだはっきりとわかっていません。

妊娠中の魚の摂取はバランスを大切に!

日本の厚生労働省は、「基本的に魚介類は妊娠にとって栄養等のバランスのよい食事を維持するためにも重要な要素。ただし、水銀濃度が高い魚介類を偏って多量に食べることは避けて、魚食のメリットを活かすこととの両立をはかるべき」と述べています。

今回ご紹介したように、国際的にも現在進行形で魚摂取のメリット、デメリットが熱く議論されていているので、これからまた新しい研究結果が発表されるかもしれません。

適度な魚の摂取量を決めるためにも、まずは私たちが流れて来る情報にバランス良く耳を傾ける事が必要とされているのかもしれませんね。

image by: shutterstock

source by: タイムズ誌/ FOX 6 NOW/ 厚生労働省

文/長塚香織

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