泣ける京都の桜物語。京で愛される桜に隠された5つの感動エピソード

 

おかめ桜 千本釈迦堂

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image by:京都フリー写真素材

千本釈迦堂の正式名は大報恩寺(だいほうおんじ)といい京都市内最古の本堂で有名です。その本堂前にあるしだれ桜が「おかめ桜」です。鎌倉時代、本堂を建てた大工の棟梁・長井飛騨守高次(ながいひだのかみたかつぐ)の奥さんの名前が、お阿亀(かめ)さんです。おかめ納豆などで有名な、あのおかめです。

本堂を建てる時に棟梁は誤って親柱の寸法を短く切り過ぎてしまいました。棟梁は自らの過ちに苦悩しました。そんな夫を見ていたおかめは棟梁に枡組みを使うようアドバイスして、無事に本堂は完成します。しかし、おかめは女性のアドバイスで男の仕事が救われたことが知られたら棟梁の恥になると口封じをします。おかめは本堂の上棟式を待たずに自害してしまいます。嘆き悲しんだ棟梁は上棟の日に妻の冥福を祈っておかめのお面を御幣に付けて飾りました。

本堂前にあるしだれ桜はかわいらしいおかめ像のすぐ近くで咲き誇ります。満開のしだれ桜は空から落ちてくるおかめの涙のようにも見えます。ソメイヨシノより少し早めに咲く千本釈迦堂のおかめ桜はとても見事なので必見です。

御車(みくるま)返しの桜 地主神社

清水寺の境内、本堂の裏手にある地主神社はえんむすびで有名な神社です。地主神社の境内に置かれている恋占いの石の周りはいつも若い男女でにぎわっています。拝殿奥にある一見見逃してしまうぐらい小ぶりな桜が地主桜です。別名を御車返しの桜といいます。811年、嵯峨天皇が地主神社に行幸された時に地主桜のあまりの美しさに3度車を引き返して見たことからこの名が付きました。

地主桜は1本の木に八重と一重の花が同時に咲く珍しい品種です。平安時代からその美しさは都では有名になり、謡曲田村熊野」にも登場する銘木です。白川女の花使いによっても毎年宮中に献上されていました。今でも4月17日のさくら祭では白川女による地主桜の献花や謡曲の奉納などが行われています。

いかがでしたか? 物語を知ってから実際に見に行った時のことを思い出すと今でも涙が込み上げてきます。これを書いていて再びその時の情景が浮かびグッとくるものがありました。今回ご紹介したのはほんの一部ですが、京都の桜にはいくつもの物語があります。そんなことを知りながら1人で眺める花見は最高に贅沢な時間になることでしょう。

image by: Shutterstock

 

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