日本経済は、もう詰んでいるのか? 人口減少「放置」が生んだツケ

 

付加価値を上げること

付加価値を上げるためには、サービス産業では高級ホテルなどを誘致して、労働単価を上げることである。外国人観光客でもセレブ層に日本に来てもらう努力が必要になるが、高級ホテルは需要があると見る。しかし、高級スーパー、デパートは現時点では、今以上は無理かもしれない。

しかし、製造業の方が付加価値は上げられるが、今ある製品では付加価値を上げることは難しい。イノベーションを起こして、その製品を実用的な価格にして普及することが重要である。日本には多くの途上製品がある。セルロース・ナノ・ファイバー、燃料電池自動車、EV車や人工光合成、IPS細胞などであり、米国発の人工知能なども候補になるが、この成熟を待つしかない。

その立ち上げができるまでの繋ぎとして、日本が強い自動車の車検期間を長くしたり、安全等の規制を緩くして自動車価格を抑えることなど規制緩和が重要になる。日本の強い産業の競争力や販売数量を上げる施策などで、内需拡大を行うことである。規制緩和を日本産業の競争力向上に向けることが重要だ。

自動車の公的な規制が強くて、価格や維持費が掛かりすぎていることで若者の車離れを引き起こしているように思う。また、企業は海外拠点で作っている安い車を国内でも生産して、販売数を上げる努力が必要であると思う。

今後の政策の基本

金融政策や財政政策では、日本が抱える根本問題を解決しないと理解して、根本問題の解決を優先的に行う必要がある。金融政策は時間稼ぎであると、量的緩和を提案した時に最初に述べたことである。

アベノミクスの第3の柱である構造改革に、企業経営者の法人税率削減などの提案に多くの時間が割かれ、私が期待した移民政策や女性活用政策、規制緩和政策に十分な時間が投入されていない。

このため、量的緩和で稼いだ時間がとうとう尽きたようである。

政治家にも民間委員にも、日本の百年の大計を構想している人がいないのが残念である。どうして、これだけ統計が確立した日本で、その統計を見て根本的な問題点を把握しないのであろうか?

人口統計で、日本が10年後陥る問題は、現時点でわかっているではないか、それに解決案を作り、国民を説得していくのが、政治家の役割である。それを放棄している。そのため、日本は衰退の道を加速度をつけて、転がり下っている。早く根本原因を見極めて、政策対応しないと手遅れになるぞ。

非常に心配である。さあ、どうなりますか?

image by: 首相官邸

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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