米は炊かずに蒸していた?日本最古のおにぎりから知る古代人の食事情

 

世界最古の煮炊きの跡は、日本の縄文土器に付いている炭化物の跡だという、科学雑誌ネイチャーに掲載された論文を紹介させていただいたこともありました。まさしく、和食の原点であったわけです。世界最古というのが鼻をくすぐります。
この煮炊きをする縄文人達の中へ、稲作文化を持ち込んだとしたらどうなるでしょうか。絶対に、米をその動植物とともに煮炊きをしたのではないかと思います。パエリアはスペイン料理の代表的な米の食べ方ですが、生米を魚介類と一緒に炊き上げます。まさにこれと同じような食べ方をしたのではないでしょうか。

そして、その中から、ただ米だけを煮炊きするという食べ方が生まれ、それが現代に繋がる米を炊くという調理方法になったものと思われます。現代の中国の人が日本に来た時、必ず買って帰るのが炊飯器だと言われています。四千年の食の歴史を持つ中国人ですら、主食の米は日本の炊き方が一番美味しいと知っているのです。また、日本の炊飯器こそ、日本人の伝統的知識を日本の技術でくるんだ最高傑作であるのです。

しかし、この最古のおにぎりは、お米を炊いたのではなく、蒸してから焼いたものだそうです。すごいですよね、炭化した米が出てきているだけなのに、それを炊いたのではなく蒸したものだと言い切れるのが本当にすごいと思います。
つまり、縄文人の中にもたらされた食べ方なら、米を炊いたのでしょうが、稲作文化を伝えた純粋弥生人達は米を炊くのではなく、蒸して食べたということです。蒸すことを選んだ人達の気持ちは、なんとなくわかるような気がします。硬い生米を食べても美味しくないですから、なんとか水分を含めせようとしたのだと思います。

でもどうやったのでしょうか。土器に水を入れて下から火をつけて、土器の上に藁を敷いてその上に米を並べたというようなところでしょうか。そうすると、ご飯粒があちこちについたわらが出来上がりますから、それを固めて一口サイズにしたのでしょうか。もしかすると米を葉っぱで包んで蒸気をあてたのかもしれません。まさに、現代も受け継がれているチマキの食べ方になったわけです。

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