忘れられたアラブの春。世界はもはや「独裁の世紀」に突入している

 

冷戦終結で事態は一変

昔はアメリカを中心とする「資本主義自由主義の国」とソ連を中心とする「共産主義社会主義の国」とが対立し、世界が二色に別れていたという感じであった。それによって中南米やアフリカでは、ある時はソ連側、ある時はアメリカ側に寄った政権となっていた。有事の際には、最後には背後のソ連とアメリカが話合えば解決できたのである。

しかしながら、西側はG7、社会主義側はソ連が中心となって世界を抑えていたのが、冷戦終結により困難となってきた。ロシアがウクライナに侵攻しても、西側は抗議はするもののそれを阻止することはできないようになっている。

大衆翼賛的なポピュリズム

中国もさまざまな問題を抱えているが、大衆翼賛的なポピュリズムをうまく活用し、汚職摘発などをやりながら、強権政治となっている。その一方で、尖閣、南シナ海、東シナ海で問題を起こしているが誰もそれを押さえることが出来ない。内政的には国民が共感を覚えるような政策を実施し、国内を抑制している。その一方で、国外には反発はあるものの強く出て発散し、それが国民にも喜ばれる。このようにポピュリズムをうまく形容した新たな形の強権政治という感じがする。

そうなってきた一つの要因はアメリカ、ロシアの力が弱まってきた上に、ヨーロッパも混乱しているので、だれも問題が発生した際に抑制できなくなってきた。かつてのG7のような集団体制で抑制するような仕組みにしていかないと、世の中はますます混乱していくだろう。G7が弱体化しG20となり非常に拡散し力を発揮できていないというジレンマに陥っている。これがジレンマのままで終わるのか、内戦などが勃発しそれによってますます混乱するということもある。今、瀬戸際にきているように思う。

(TBSラジオ「日本全国8時です」9月13日音源の要約です)

image by: Slavko Sereda / Shutterstock.com

 

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