激務の公認会計士が、いかにしてTOEIC200点アップを実現したのか?

 

戦略的な英語習得に向けての4つの助言

英語を学習するにせよ、気を付けなければならない点としてあげたいのは、以下の4つだと思います。

  1. グローバル競争からの防御
  2. 英語学習のリスク
  3. 国内市場の斜陽
  4. テクノロジーへの注意

第1にグローバルな低付加価値な競争に巻き込まれないように注意してキャリアを進めるべきだということです。

例えば、海外勤務した経験のある公認会計士は、日本税制について以前よりも力を入れて学習します。それが現地のローカルスタッフに比べた差別化になるからです。インバウンドの会計業務で強みを持てるのは、日本の会社法・税務への対応力です。

この点、今のパートナー層の年齢の方は、海外のサービスや仕組みを勉強して日本市場にローカライズして売って、儲かった成功体験があります。したがって、英語を勉強して海外を学ぶように指導してくるかもしれませんが、これからの時代、海外での成功事例の持ち込みがキャリアに役立つのか考えてみたほうがいいかもしれません。

英語を勉強してMBA取得というキャリアはどうでしょうか。あるいは、英語を勉強してファイナンスの実務経験というキャリアはどうでしょうか。グローバルで損しませんか。

次に、副作用への注意です。

効率的な英語学習法はたくさんあるのでしょう。それでも英語の学習にはものすごい時間がかかる点は如何ともしがたい問題です。とにかくそこに時間を配分しすぎると、他の勉強はもとより、もっと大切な人脈や経験、情報源といった資源構築が足りなくなります。

これは、監査法人マネージャーたちに不足している意識で、要するに「仕事が取れないタイプのプロフェッショナル」となります。「仕事が取れないタイプのプロフェッショナル」は「英語ができないプロフェッショナル」よりも将来性がありません。

英語の学習時間を優先して、無趣味で流行に疎くなったり、人付き合いが悪くなったりという、副作用がでないようにしなければなりません。

効率を考えた場合、手っ取り早いのは、前述のような、大手監査法人で開発された会計監査にフォーカスした英語学習ツールを入手しておいて、実務でアサインしてもらい、TOEICではなく、その経験を主張するという方法が良いと僕は思います。

TOEICでも、スマホで空き時間に勉強するツールもありますし、スカイプ英会話でもいいでしょう。とにかく効率を追求していくしかありません。

3つ目に、長期的な展望とエギジットで、すなわち国内市場の衰退問題です。世界の人口は増えて日本の人口が減る未来を想像して、日本の衰退を織り込みます。

なにも斜陽を悲観するべきじゃなくて、豊かな日本が衰退する中で、出世欲や向上心を抑えて生きるなら、楽でゆとりのあるキャリアを志向することができると、僕は思います。

例えば、重厚長大の完成した大企業の経理は楽だし福利厚生も良好です。ただし、組織の高齢者が多いのでポストは限られています。

町の会計事務所や中小監査法人で勤務していて低年収でも、やがて代替わりが来るとおもいますし、積極的に営業して拡大しようとしなければ楽ですよ。

要は、公認会計士資格を利用して、既得権を得られるように動けばよいのです。これらのキャリアに英語は必要ありません。

一方で、今よりも裕福な暮らしを求めたいなら、海外の経済成長の中に身をゆだねるべきだと思われます。外人からおカネを貰えるようにしたいですよね。英語にチャレンジです。

最後に、テクノロジーです。

ドラえもんの「翻訳こんにゃく」みたいなアプリやツールが10年単位では完成する可能性が高いという、ある理系学者やベンチャー投資家の話があります。テクノロジーの力で言語の壁が取り払われたら、IT革命に匹敵する衝撃でしょうね。世界中で、言語に対する研究開発では多額のカネが投じられているといいます。

「翻訳こんにゃく」は、「タイムマシン」より実現可能性はかなり高いでしょう。

電卓の登場でソロバンのスキルは陳腐化しました。同じく、語学スキルが陳腐化する未来の可能性はどうでしょうか。もしも、そういうテクノロジーが出たときに、強みが残るようにキャリアを考えておくことが必要だということです。なにせ、みなさんはあと半世紀近く働くのですから。

image by: Shutterstock

『六本木の公認会計士いきぬき(生き抜き)』 より一部抜粋

著者/JoJoの奇妙な公認会計士
事業会社、ベンチャー企業を経て大手監査法人へ。採用担当やIPO担当、大企業の主査業務を経験後にアドバイザリーチームに移籍。さまざまな業界とつながりを持つ著者のメルマガは具体的ですぐに使えるビジネスヒントに満ち溢れている。
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