炊飯器の性能だけじゃない。日本のお米が世界で一番美味しい理由

 

麦ご飯を食べたことのある方はおられるでしょうか。麦を炊く時のやり方は、多めに水を張った鍋に麦や米を入れ、沸騰後に余分な水分を捨てる方法を取ります。粟(あわ)も同じように炊くのだそうです。どのくらいの水分を吸収してくれるのかわからないので、合理的なようにも見えますが、せっかくの煮汁を捨ててしまいますから非常にもったいないようにも思います。

昔は、この煮汁を柄杓でくみ出したのですが、それを動物に与えたり(家畜の餌にしたり)、また、糊として使っていたようです。決して、無駄にしていたわけではなかったのです。

この方法を「湯取り法」というのですが、中国も朝鮮半島もこの湯取り法で米を炊きました。実際、この湯取り法を使って米を炊くと、米に粘り気がなくなりパサパサしたものになります。東南アジアで食べるお米はこのような感じです。タイ米は美味しくないという人がいますが、炊き方が違うのです。

私も、個人的には「炊干し法」に慣れてしまっているせいでしょうか、どうも、パサパサのご飯を美味しいとは思えません。米どころ新潟の魚沼産コシヒカリと言えば、最高級の日本米です。その中でも、山側で取れる米というのがあります。普通に炊いても、粘りっ気がありねちゃねちゃして甘味があります。パサパサを好まない日本人の好きな究極のご飯です。

(ひえ)を炊くときには、まず水を沸騰させ、沸騰した湯の中に稗を入れて煮立たせた後、竹籠に開けて粘り気を落とすように洗います。そして、蒸し籠で蒸します。これを「湯立て法」と言います。アイヌの人々の主食は、この稗でした。我々が言うところの、ご飯はチサッスイェプといい、稗を湯立て法で蒸したものでした。青森では現在も稗を栽培していますし、岩手ではとろろをかけて食べたりします。

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