現役医師が語る、「砂糖とタバコ」の危険な共通点

 

砂糖とタバコの共通点

ところで、この砂糖タバコとの共通点が少なくとも三つあります。一つは健康によくないこと。次に依存性があること。三つ目は、バックにいる産業のロビー活動が活発であり、消費者を騙していたことです。

健康によくないことは明らかです。砂糖はブドウ糖と果糖に容易に分解されて吸収されます。ブドウ糖はインスリン分泌の強力な刺激剤であり、インスリンは肥満を作るホルモンです。インスリンは血糖値を急激に下げ、強い空腹感を感じさせ、ドミノ倒しのようにカロリーの過剰摂取を促します。もちろん、砂糖はまた、虫歯の原因となります。

砂糖には心理的な依存性があります。身体的依存があるニコチンほどではありませんが、依存性があるのです。毎日、朝起きてすぐに甘いものが食べたくなるのはその症状です。食事の後に必ずデザートを食べたくなる人も依存症状の可能性があります。

世界保健機構のガイドラインでは、ひとり当たりの砂糖摂取量は1日25グラム以下とすべきとしています。しかしながら、世界でその基準未満となっている国は10か国しかありません。ひとり当たりの砂糖摂取量でみると、世界で砂糖消費の三大国は、チリ、オランダ、ハンガリーです。チリ人は平均1日130グラム以上も砂糖を消費しています。

最後のひとつは産業のロビー活動です。1960年代から、菓子やコーラなどの砂糖産業は米国人栄養学者のAncel Keys氏などと結託して、心臓病や肥満の原因は脂肪であるというスケープゴートをつくることにほぼ成功しました。

砂糖産業の暗躍

また、Keys氏らは、当時から砂糖の健康有害性を主張していた英国人栄養学者のJohn Yudkin氏(ロンドン大)などの説を否定する論調を展開していました。栄養学研究者の利益相反ですね。これはもう、前世紀から今世紀にかけての保健医療分野での最大のスキャンダルと言ってもよいでしょう。

タバコ会社がニコチンの依存性データを隠していたのと似ています。タバコ会社の反社会的活動はAl Pacino主演の映画「インサイダー」で描かれていましたね。シュガー業界の活動も今後映画化される可能性は大と思います。

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