新人の育成が難しい企業などでは、定年を迎えた社員に対して職場に残ってもらえるように懇願するケースも少なくありません。しかし、一度年金受給者となった方が再び厚生年金に入り、その加入上限ギリギリの70歳まで働いた場合、後から働いた分の年金はいつ、そしてどれくらい増額されるのでしょうか。無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者・hirokiさんに解説していただきました。
年金受給後に厚生年金に加入して働いた分はいつ年金として反映されるのか?
今回は年金を貰いながら退職までに働いた期間分の年金がいつ増額されるのかを書きたいと思います。
年金受給開始後も厚生年金に加入し続ける場合、もちろんその分は年金を増額させますが厚生年金期間が1ヶ月増えるごとにいちいち年金額を変更させません。そんな事をしていたら処理が煩雑になるから(^^;;
年金受給後に年金額を再計算するのは退職してから1ヶ月を経過するか(年金の退職改定という)、65歳到達日を迎えるか、70歳到達日を迎えないと年金額を変更しません。
というわけで今回は、65歳以上の人で見ていきましょう。
1.昭和26年5月1日生まれの男性(今年66歳になる人)
昭和32年2月14日生まれの60歳の同居の妻あり(専業主婦で厚生年金期間と共済組合期間合わせても20年以上無し。年金受給資格は有りとする)。
この男性は65歳になるまでは220ヶ月の厚生年金期間あり。国民年金保険料納付済期間(150ヶ月)と厚生年金期間220ヶ月合わせると全体では370ヶ月。
60歳から65歳までの厚生年金期間は60ヶ月。
※注意
以下の計算はザックリです(^^;; 本当は給与(標準報酬月額)に再評価率というのを掛けないといけない。再評価率は省いてます。再評価というのは、昔の貨幣価値をそのまま今の金額で用いたら年金額が低くなるから、現在価値に直すもの。
● 再評価(日本年金機構)
65歳からは老齢厚生年金(報酬に比例する年金はとりあえず60万円+経過的加算9万7,733円)+老齢基礎年金50万3,298円=120万1,031円(月額10万85円)。
※注意
経過的加算→定額単価1,625円×220ヶ月-老齢基礎年金満額77万9,300円÷480ヶ月×(20歳から60歳までの厚生年金期間160ヶ月)=(35万7,500円-25万9,767円)=97,733円。
老齢基礎年金→77万9,300円÷480ヶ月×(150ヶ月+160ヶ月)=50万3,298円。
さて、65歳以降も厚生年金に加入している(給与は30万円とします)わけですが、平成31年3月31日をもって退職。退職日から1ヶ月経過した日の属する月から年金額を改定。ただし、4月30日までに厚生年金に再加入すると年金額を改定しない。