内閣支持率は信用できない。プロすら断言する電話世論調査の実態

 

そこで世論調査はRDD方式(Random Digital Dialing)に転換。今行われている世論調査のほとんどが、コレです。といってもすべてをランダムにするわけではありません。最初に地域別に分類し、電話番号の下4ケタだけをコンピューターで乱数を発生させるのです。乱数の作り方はいろいろなので、どれを使っているかはわかりません。

ちなみにRDD方式は統計学的には、妥当性や信頼性の確証は得られていません。ですから研究者からは、実体のないものを捉えているとして、「ブルジョア統計学」とも揶揄されています。

二つ目の調査方法ですが、かつてはランダム・サンプリングにより選ばれたお宅にプロの面接官が訪問し調査していました。その後、質問票と返信用封筒を送り、期日までに返信する「郵送法」に変わりました。私の大学院時代はもっぱら郵送法でしたので、何度封筒に宛名を貼り、質問票を入れるのに夜なべしたことか……。バイトを頼むお金のないので東大のしけた研究室で(壁にひび入り……笑)、ツラさをごまかすためにひとり歌を歌い、やり過ごしました~。

回答率もシール付きの封筒の方が高まるとか、質問票が色付きだといいとか、お願い文もかなり工夫しました。おまけにこれだけしんどい経験をすると必死で回収にも励む。返信が来たときの喜びもひとしおで……「がんばってこのデータを生かさなきゃ!」とモチベーションも高まるんですよね。世論調査の場合、郵送方式だと有権者がその内容を吟味し考える時間ができるので、とても有意義な方法です。

ところが1990年代からは、電話方式に転換。最近は自動音声によるものになりました。これはダメです。「面倒臭い」と切る人、電話口の調査員に怒鳴る人……、自動音声だと「ホントに選挙権のある人」なのかも不明。この段階で、完璧に世論調査は意味なき数字」に成り下がります。

そして、最後が質問文と選択肢。3択なのか?4択なのか?「はい」「いいえ」「わからない」。「はい」「いいえ」「どちらでもない」でも変わります。

質問文は微妙なニュアンスで大きく変わります。米国では大規模な世論調査は古くから、ギャラップ社とNORC(シカゴ大学)が行っているのですが、いつも数字が異なるとして有名でした。その中のひとつの事例で、もっともシンプルなのが、以下の「幸福感に関する調査です。

【ギャラップ社】
Are you very happy ? Are you fairy happy? or Are you not very happy?

【NORC】
Are you very happy ? Are you pretty happy? or Are you not too happy?

さて、「fairy」と「pretty」、「very」と「too」―――。これだけの違いで、なんと「Are you very happy ?」という両者共通の回答率が変わったのです!!! ギャラップ社の方が、「Are you very happy ?を選ぶ人が15ポイントも多かったというのです!

人間って不思議だね~~。ちょっとした言い回しで変わるだなんて。

print
いま読まれてます

  • 内閣支持率は信用できない。プロすら断言する電話世論調査の実態
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け