中国は、30年遅れて日本と同じ道を歩んでいる。次は暗黒の20年

 

国家ライフサイクルと中国

私の根拠は、「国家ライフサイクル」です。新しい読者さんは、ご存知ないかもしれません。国家にも人間同様、「生老病死のプロセスがある」という考えです。

  • 前の体制からの移行期(混乱期)→成長期(前期と後期)→成熟期→衰退期

とわかれます。日本は戦後、1950年の朝鮮戦争で「成長期」に入りました。中国は、1949年に建国された。しかし、「成長期」に入ったのは、1978年12月、鄧小平が「資本主義導入」を決めてからです。ざっくりいうと「1980年から成長期に入った」と言える。そう、中国は30年遅れて日本と同じ道を歩んでいるのです。

「ホントですか~~~???」

見てみましょう。

  • 日本=1950年に成長期に入る
  • 中国=1980年に成長期に入る
  • 日本=1960年代、「安かろう悪かろう」で急成長
  • 中国=1990年代、「安かろう悪かろう」で急成長
  • 日本=1970年代、「世界の工場」になる
  • 中国=2000年代、「世界の工場」になる
  • 日本=1980年代、「世界一になる!」といわれる
  • 中国=2010年代、「世界一になる!」といわれる

このままでいくと、次はどうなるか? 皆さんわかりますね?

  • 日本=1990年代、「暗黒の20年」に突入
  • 中国=2020年代、「暗黒の20年」に突入???

中国は、「まさに」国家ライフサイクルどおりに動いている

もう少し「ライフサイクルの中身」を見てみましょう。移行期・混乱期にある国が成長期に入る条件は、二つ。

  • 政治の安定
  • 賢明な経済政策

これで、急成長を始める。主な武器は、「安い労働力」です。成長期前期は、まず「安かろう、悪かろう」で成長。そのうち、「安いのに、質もいい」で成長。ところが、経済が順調に成長すると、賃金水準が上がっていきます。それで企業は、この国で生産するメリットが薄れていく。成長期の後期に入ると徐々に生産拠点を移し始めていきます

中国はどうでしょうか? ご存知の方も多いと思いますが、日本企業もその他の外国企業もこの国から逃げ出しています。産経新聞2013年8月9日付をごらんください。

日本企業の上期直接投資 脱中国くっきり ASEANに軸足

 

日本貿易振興機構(ジェトロ)が8日発表した「世界貿易投資報告」によると、今年上期(1~6月)の日本企業の対外直接投資額は、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが前年同期比55.4%増の102億ドル(約9,800億円)で過去最高を記録、対中国向けの2倍超に膨らんだ。

昨秋以降の日中関係の悪化や人件費の高騰を背景に、中国向け直接投資は31.1%減の49億ドルまで落ち込み、生産拠点の「脱中国」が鮮明になった。

これを見ると、「尖閣国有化」で「日中関係が悪化したのが原因」と考えがち。確かに、それも大きな要因です。しかし、主因は「人件費の高騰」です。日中関係悪化は、「決断を後押しするファクター」だった。日本企業、主な投資先はインドネシア、ベトナムだそうです。これからは、やはりインドでしょう。3年前『クレムリン・メソッド』で書いたように、インドの時代がやってきます

というわけで、中国は賃金上昇によって企業が逃げ出す」段階に入っている。これは、どの国でも起こることで、変えることはとても難しい。共産党の政策の良し悪しに関わらず、中国は「成熟期」に向かっていきます。

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