暗がりの夜スマホで「視力が落ちる」というのはホント?

2017.09.29
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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「暗い場所で文字を読むと、目が悪くなる」という話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

最近ではスマホが普及していることもあり、暗い場所でついつい、いじってしまうという人もいることでしょう。

では、本当に暗い場所でスマホや読書をしていると、視力は低下するのでしょうか?

今回は、暗い場所で文字を読むことと、視力低下の関係についてみていきたいと思います。

そもそも視力とは?

私たちの目から入った光は、目の表面にある角膜や水晶体を通って目の奥にある網膜に達します。

そして、網膜に到達した光が視神経を通って脳に伝わることで、ヒトやモノを認識しています。

また、私たちの目にはピントを調節する働きも備わっています。

この役割は、水晶体のまわりにある毛様体筋などが担っています。たとえば、近くのモノをみるときには、この毛様体筋は収縮します。

すると、水晶体の周辺にある「チン小帯(毛様小帯ともいう)」がゆるみ、水晶体が膨らみます。これによって、屈折力が強くなってピントが合い、近くのモノもはっきり見ることができるのです。

それでは、いわゆる「視力が良い」とはどのような状態を指すのでしょうか?

屈折異常と視力の関係

角膜や水晶体を通って入ってきた光が網膜できちんと焦点が合う状態を「正視」といいます。いわゆる「目が良い=視力が良い」とは、この正視の状態を指します。

一方、遠くから入ってきた光が網膜ではなく、その手前や奥で焦点が合う状態や焦点が1か所に定まらない状態は、「屈折異常」と呼ばれ、いわゆる「目が悪い=視力が低下した」状態といえます。

屈折異常には、次のような種類があります。

遠視

光の焦点が網膜よりも後ろで結んでしまいます。遠くも近くもはっきりと見えない状態です。

近視

光の焦点が網膜よりも前で結んでしまいます。近くははっきりと見えるのに対し、遠くは見えにくくなります。

乱視

角膜や水晶体のゆがみによって、焦点が1か所に定まらずにぼやけてみえる状態です。

では、なぜこのような屈折異常による視力低下が起きてしまうのでしょうか?

視力低下の要因

視力低下の要因として、病気によるものや遺伝によるものが挙げられます。ただし、屈折異常が原因で視力低下が起きている場合は、生活習慣が関係している可能性が大いにあります。

中でも、次のような生活習慣は視力低下に影響を与えるといわれています。

・机に向かって読み書きをするさい、机やいすの高さが合っていない

・パソコンやテレビ、スマホ、読書などを長時間続けている

・暗いところで作業をする

これらの生活習慣が視力低下を招く理由、それは眼精疲労です。

たとえば、机やいすの高さが合っていないと、モノを見るために自然と身体が前のめりになって、モノと目の距離が近くなります。最初にお話ししたように、モノを近くで見るということは、毛様体筋が収縮して、目の周りの筋肉が緊張するため、眼精疲労を感じやすくなります。

また、長時間モノを見続けていれば、それだけ眼精疲労はたまりやすくなります。

中でも、パソコンやテレビ、スマホ、読書などをしている間は、ついつい熱中して休憩をとることを忘れてしまいがちです。そのため、知らずしらずに眼精疲労がたまってしまうのです。

さらに、暗い場所は明るいところよりもピントが合いにくいため、より目を酷使することになって、眼精疲労を招きます。

また、光を放つパソコンやテレビ、スマホなどを暗い場所で見ていると、他のモノが見えないことから、より一層光っているものにばかり注目してしまい、視野が狭くなります。このような状態は近視や乱視が進む原因となります。

眼精疲労は一時的な視力低下を招きます。

これはいわゆる「仮性近視」と呼ばれるもので、休憩をとったり、目や首のまわりを温めるなど、目を休ませることで回復します。

ところが、このような眼精疲労を放っておいてしまうと、近視の状態が当たり前となり、最終的に近視や視力低下の常態化を引き起こしてしまうのです。

暗い場所でのスマホや読書と視力の関係

暗い場所でスマホや読書をすることには、下記の眼精疲労を招く2つの要因が含まれています。

1.近距離での作業

2.暗い場所での作業

このことから、「暗い場所でのスマホや読書は視力を落とす可能性がある」といえるでしょう。

ここまでご紹介したように、現代人の生活習慣には視力低下を招く要素があふれています。そのため、最低1時間に1回は休憩をはさむ、目や首などを温めるといった目の休息時間を意識してとることが重要になります。

また中には、視野が狭くなる、かすんで見える、何回も視力を調整しても眼鏡やコンタクトレンズが合わなくなる、中心や上半分・下半分など視野の一部だけが見えなくなるといったことでも、「視力が低下した」と感じる方もいるかもしれません。

 しかし、これらの症状の場合は、単なる視力低下ではなく、緑内障や白内障、視神経症など目の病気が関係している可能性があるので、眼科を受診するようにしましょう。

【参考】
JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)『レーシック情報

執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当 

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

image by: Shutterstock

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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