「五輪エンブレム撤回」新聞各紙はどう伝えたのか?

 

◆1面トップは……。

《朝日》…「五輪エンブレム再公募」「佐野氏辞退で白紙」
《読売》…「五輪エンブレム撤回」「組織委決定、再公募へ」
《毎日》…「五輪エンブレム撤回」「「国民理解得られぬ」」
《東京》…「五輪エンブレム撤回決定」「動かぬ組織委 責任重く」

各紙、似たり寄ったりは仕方がない。ただ、見出しの1本目に「再公募」を入れた《朝日》、撤回理由として説明された「国民の理解…」を入れ込んだ《毎日》、組織委員会の責任を問う《東京》には工夫の跡が見られます。パッと目に飛び込んできたときに、各紙、微妙に印象が違うのがお分かりいただけるでしょうか。

◆解説面は……。

《朝日》…「組織委、急転撤回」
《読売》…「写真流用で急展開」「五輪エンブレム撤回」
《毎日》…「追い込まれ幕引き」「五輪エンブレム撤回」
《東京》…「五輪エンブレム撤回」「なれ合い 甘い線引き」

見事に4紙とも「五輪エンブレム撤回」で揃いました。もちろん、大変大きなテーマ、事件ですから、当然の扱いです。ただ、【はじめに】で述べましたように、これだけ大きく扱う理由の中には、この話が非常に分かりやすい、扱いやすいネタだということも含まれているのです。

ということで、この「五輪エンブレム撤回」問題を各紙がどう報じたか、1面記事と解説に渡って吟味することにしましょう。各紙、色々な要素を書き綴っていますが、結論は似通ったところに収斂していきます。次の公募は少なくとも「より開かれた公募」の形をとれ! そういうことだと思います。

まずは「基本的な報道内容」を整理しておきましょう。

基本的な報道内容

デザイナー佐野研二郎氏が制作した2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムについて、大会組織委員会は、その使用を中止して取り下げることを決定した。エンブレムが盗作でないかとする声や、使用イメージ図も無断転用した画像を用いたのではないかとの指摘が相次いでいた。組織委員会は、新しいエンブレムを公募して選び直す方針。

会見した武藤敏郎事務総長は、「佐野氏は使用イメージ画像の無断転用は認めたが、エンブレムの模倣や盗作は否定している。組織委も盗作だとは考えていないが、今や、一般国民の理解を得られなくなった」とエンブレム撤回の理由を述べた。

エンブレムは応募104点の中から選ばれ、7月24日に発表された。ベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ているとの指摘が出たため、組織委は8月28日に会見を開き、原案から2度の修正を経て最終的なエンブレムになったとして「全くのオリジナル」と主張していた。ところが、この「原案」自体がヤン・チヒョルト氏の展覧会のポスターに似ていること、さらに既に示されていた活用イメージ図2点も無断転用ではないかとの指摘がなされた。

佐野氏は、活用イメージ図については「内部資料として作ったもので、公になる前に権利者の了解を得るのを怠った」と無断転用を認めたが、エンブレムに付いては、展覧会に行ったことは認めたが、盗用を否定。自分や家族に対する誹謗中傷が続き、五輪のイメージに悪影響を与えているとして、自らエンブレムを取り下げる提案をした。佐野氏への賞金100万円の支払いは行われない。

佐野氏の提案を受け入れ、1日の調整会議の場で使用中止が正式に決定された。

ということで、以下、各紙個別に。

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