もう政府は頼らない!ついに自ら資金集めを始めた理研研究員

 

研究費を政府に依存することのデメリット

さて、ここからが本題で、「政府がなくなった場合に科学研究を続けられるか」ということです。

現在、日本では科学研究は国からの予算によって成り立っています。そのため、もしも政府が破綻すると、間違いなく日本の科学研究は停滞するでしょう。科研費は減額され、人員も削減されます。実際に最近、文系学部の廃止も進められてきて話題になっています。

政府に頼った研究資金には多くのデメリットが存在します。その最たるものが研究者と国民との距離です。研究資金は税金で国民が支払ったものです。そのため、研究者は国民に対して感謝をして、サービスを提供することは当たり前の話です。

しかし、政府が研究者と国民の間に入っているため、研究者と国民とのやりとりはなくなります。これが政府を介した研究資金のデメリットです。

また、研究費は性悪説を前提として運営されており、非常に使い勝手が悪いです。例えば、学会へ行く際の新幹線の切符を提出することもあります。物品は購入できても、研究のために人を雇うことは困難です。お金の管理に秘書を雇う必要も出てきます。

政府と共に科学も衰退するかときかれると、答えは「No」です。現在、科学の発展で生活は豊かになり、人々は暇を持て余すようになりました。暇になった人々が何をするかというと、音楽、読書、食事などの娯楽を楽しむようになるでしょう。科学研究も一種の娯楽であり、今後、科学を楽しむ人は増えるはずです。科学研究は人々が暇になるほど発展していくため、今後も今以上に成長していくと私は考えています。

政府に依存しない研究資金集め

では、政府に頼らない科学資金集めとして何があるかというと「寄付」が一般的です。企業や個人が科学の発展のために、見返りを求めずに資金を提供するのが寄付です。

寄付は宣伝として使用されることもあります。例えば、楽天の三木谷氏はiPS研究に10億円寄付し、ニュースになりました。これにより楽天のイメージは大きく上がったと思います。

上記の他に近年、ユニークな寄付の方法が開発されてきました。その一例が、クラウドファンディングです。研究者がやりたい研究内容をプレゼンし、一般の人が寄付する形式です。ネットで簡単に寄付することができ、寄付に対する心ばかりの見返りとして様々なサービスが用意されています。今のところ、academistというサービスが有名です。

また、クマムシの研究を行っている堀川氏はグッズ販売や有料メルマガによる研究資金集めも行っています。クマムシを擬人化し、ぬいぐるみなどのグッズとして販売して研究資金を得ています。また、科学に関する有料メルマガにより、エンタメを提供することで資金を集めています。

上記のように政府に頼らない資金集めは十分可能です。また、インターネットにより、個人レベルでの資金集めも実現できるようになってきました。今後、研究ボランティアをネットで募り、研究を行う手法など様々な研究スタイルが出てくると思います。

最後に

ここまで述べた理由から、政府からの研究費は年々減少することが予想されます。そして、政府に依存した現行の科学資金ではなく、寄付を募ることが研究推進のために必要となるでしょう。

それにも関わらず、科学者の多くは、現在の枠組みの中で行動しています。科学者のテレビ出演やブログが少ないことからもわかるでしょう。この消極性は、おそらく寄付による資金集めに成功しているモデルケースがないからだと思います。

私も枠組みの中で研究してもいいのですが、問題があると解きたくなる性分が邪魔をします。この科学資金集め問題を解きたくなるのです。政府を介さずに、研究者と国民が直接やり取りをして研究を進める構図を実現したいと思うわけです。その1つの過程として有料メルマガを発行するに至ったというわけです。

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