世紀の発見が迎えたマサカの結末。製薬会社バイエルが絶望した訳

 

しかし、すでに化学マンならオチに気がついていると思いますが、このプロントジルというのは、体のなかで分解されてスルファニルアミドが出現、そのスルファニルアミドが抗生剤として作用しているプロドラッグであることを、ドイツのお隣おフランスのパスツール研究所で数週間で発見してしまいます。

まさか色素自体に抗生剤としての作用があると思っていたら、合成前の材料であるスルファニルアミド、しかも特許はとっくに失効していた、どこにでもある薬品が有効だったことを発見し、バイエルにご進言。

ようするに体がピンクになる副作用は不要で分量も半分で済み合成の手間もかからない…ことが分かったわけです。

バイエルの中では落胆と絶望の嵐が吹き荒れた…とか。ドイツの科学は当時、ヨーロッパでも最先端を行っていたと言われていますが、思い込んだらアクセル全開カーブを曲がれない柔軟性の無さは、なんだか日本の研究にも似たような感じがあったりなかったりします(笑)。

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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