しかし、すでに化学マンならオチに気がついていると思いますが、このプロントジルというのは、体のなかで分解されてスルファニルアミドが出現、そのスルファニルアミドが抗生剤として作用しているプロドラッグであることを、ドイツのお隣おフランスのパスツール研究所で数週間で発見してしまいます。
まさか色素自体に抗生剤としての作用があると思っていたら、合成前の材料であるスルファニルアミド、しかも特許はとっくに失効していた、どこにでもある薬品が有効だったことを発見し、バイエルにご進言。
ようするに体がピンクになる副作用は不要で、分量も半分で済み、合成の手間もかからない…ことが分かったわけです。
バイエルの中では落胆と絶望の嵐が吹き荒れた…とか。ドイツの科学は当時、ヨーロッパでも最先端を行っていたと言われていますが、思い込んだらアクセル全開カーブを曲がれない柔軟性の無さは、なんだか日本の研究にも似たような感じがあったりなかったりします(笑)。
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