年金の受取額が倍になることも。知らないと大損な「特例」とは?

 

1.昭和37年11月26日生まれの女性(今55歳)

この女性の厚生年金支給開始年齢は63歳。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

高校を卒業した月の翌月である昭和56(1981)年4月から、63歳到達年である平成37(2025)年10月(退職を誕生日到達日の11月25日とすると10月まで月数に含む)までの535ヶ月厚生年金期間。

昭和56(1981)年4月から平成15(2003)年3月までの264ヶ月間の平均給与(平均標準報酬月額)は300,000円とします。賞与も年金額に反映するようになった平成15年4月から平成37年10月までの271ヶ月間の、全給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)を足して平均した額(平均標準報酬額)を430,000円とします。厚生年金の計算は賞与が年金額に反映しない平成15年3月以前と、賞与も年金額に影響する平成15年4月以降で分けないといけない。

63歳になる平成37年11月25日(誕生日の前日に歳を取るから25日)をもって退職する。そして、普通ならまず老齢厚生年金が受給出来る63歳に達したので、請求により平成37年12月分から老齢厚生年金の「報酬比例部分のみ」の支給が始まる。初回支払いは請求から大体3ヶ月はかかるから、平成38年3月15日(12月、1月分の2ヶ月分)が初回支払いになると考えていた方がいいです。

まず、老齢厚生年金(報酬比例部分)を算出。

  • 300,000円÷1,000×7.125×264ヶ月+430,000円÷1000×5.481×271ヶ月=564,300円+638,701円=1,203,001円(月額100,250円)

本来ならこの年金だけ。しかし、この女性は長期加入者特例の条件である「528ヶ月以上、「退職により厚生年金の資格を失っている」ので、自動的に年金に定額部分という年金がオマケで付いて増額する。厚生年金に加入してる間はダメ。

  • 定額部分→1,625円×厚生年金期間480ヶ月(定額部分上限月数)=780,000円

また、この11月25日時点で生計維持している65歳未満の夫が居れば(夫は20年以上の厚生年金や共済からの厚生年金を貰えないという事で話を進めます)、配偶者加給年金389,800円が更に加算。以下、配偶者加給年金が付くものとします。

※注意

配偶者加給年金を付ける場合は63歳到達時時点の戸籍謄本、世帯全員の住民票、夫の所得証明が必要。普通は65歳時点にしか配偶者加給年金は付かないが、長期加入者特例により定額部分がオマケで付くと定額部分発生時の63歳から配偶者加給年金が付く

よって、平成37年12月分から年金は老齢厚生年金(報酬比例部分1,203,001円+定額部分780,000円)+配偶者加給年金389,800円=2,372,801円(月額197,733円)となる。

528ヶ月無ければ、定額部分は元々付かない生年月日の人だし、配偶者加給年金が付くとすればこの女性が65歳にならなければ付かなかったのが、63歳から前倒しでオマケで付いて年金額が大幅アップしたんですね~。ただし、途中また再就職などしてさっきも言ったように厚生年金に加入すると定額部分も配偶者加給年金も全額停止になる。

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