日本どころじゃない。韓国の「受験戦争」は想像以上に過酷だった

 

受験戦争を象徴するものの一つに「ヤジャ」というものがある。「夜間自律学習」の「夜自」をとって「ヤジャ」という。高校生の夜間学習のことである。有名校はもちろんのこと、韓国のありとあらゆる高校でこのヤジャというものがある。男子高、女子高を問わない。高校一年生からこのヤジャはある。放課後になっても家に帰るのではなく学校に残り夕食を食べてから教室で学習が始まる。

担任の先生がいることもあるが、普通は生徒だけで学級委員が中心となり自習が行われる。一年生は夜9時まで。二年生は夜10時まで。三年生は夜11時までというのが大部分の高校のスタイルといえるだろう。これが毎日続くわけだ。どうだろうか。日本の皆さん、想像できますか? ただし、「自律学習」ということなので、勉強する子もいれば、友だちとグラウンドに行ってダベリングで過ごす子もいるのは世の常。三年生ともなるとさすがにほとんどのクラスで静かに黙々と勉強に励む姿が見られると、韓国の女子高校に通ったわが子も言っていた。

ヤジャがクリアできるのは、「修能試験」(スヌンの日である。日本で言う大学入学の統一試験、韓国ではこれをスヌンといっている。11月の第2か第3週目の木曜日がだいたい毎年その日である。この日はまた大変だ。受験生のために、会社の出勤時間を1時間遅めたり早めたりして交通の混雑を緩和しようとするほどだ。また遅刻しそうな生徒がいたら、すかさずパトカーや白バイが動員されその生徒を向かうべき所定の学校に運んでくれる。数年前、朝日新聞で見た記事だが、京都でもこうした遅刻学生がいてパトカーが動員され20キロほど突っ走って生徒を試験場まで運んでくれたそうだ。そうすると京都府警に700件を越す反響が届いたそうだが、8対2で賛成が多かったという。「2」は反対ということで「甘すぎる」「不公平だ」といった意見。韓国だったらこういう賛否論争はありえない。10対0で皆賛成ということになろう。韓国の高校生もこのスヌンの翌日からはヤジャがなくなるのである。

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