プライドをポイッ。中国の属国として生きることを決意した金正恩

 

金正恩は、習近平に【体制保証】を求める

ちなみに金の今回の訪中。彼は、ますます習の「手下化」しています。

北朝鮮は国内向けにも中朝関係の緊密さを打ち出した。20日付の朝鮮労働党機関紙・労働新聞(電子版)は大小28枚もの写真を使って、19日に行われた今年3度目の中朝首脳会談を大々的に報道した。北朝鮮のメディアが金委員長の帰国前に報じるのは異例だ。中国外務省によると、金委員長は首脳会談で、習氏を「偉大な領袖(りょうしゅう)」と呼んだ。中国では毛沢東に使われる最上級の敬称だ。
(同上)

金は、習を「偉大な領袖」と呼んだそうです。なぜ、金は習をここまでヨイショしなければならないのでしょうか?

トランプと金のディールは、「北が完全に非核化すれば、アメリカは北の体制を保証する」です。しかし、ある程度、世界情勢を追っている人なら、「アメリカの体制保証を信じるのは難しいでしょう。

イラクのフセインは、「大量破壊兵器を持たず」「アルカイダを支援していなかった」にも関わらず、攻撃され、殺された。リビアのカダフィは、核開発を放棄したにも関わらず、アメリカが支援する「反体制派」につかまり、殺された

金が核を放棄し、丸腰になれば、いつアメリカが彼を殺すかわかったもんじゃない。そこで、金は、戦略的決断をくだします。つまり、自主自立路線を捨て、「中国の属国になることで生きのびよう!」と。極貧の小国としては、正しい選択といえるでしょう。なぜ?

金が、約束通り非核化を成し遂げた。そこでアメリカは、「これで安心して北を攻撃できるぞ!」と歓喜する(念のため書いておきますが、トランプさん自身は、心から北の体制を保証するつもりでしょう)。しかし、ある人がいいます。

「無理です。北朝鮮と中国の関係は、これまでになく緊密です。北を攻めれば、中国が黙っていないでしょう!」

それで、北攻撃計画は、流れる。金の狙いは、ここにあり、賢明だと思います。

金はアメリカの体制保証を信用していない。それで、習に接近することで、北の体制を保証してもらう。アメリカと違い、中国は、「緩衝国家・北朝鮮」の存続を望んでるのですから。

米朝首脳会談後も、ゲームはつづいていますね。

日本は? 現段階では、何もせず、米北関係の推移を見守っていくのがよいでしょう。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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