新刊ビジネス書情報誌『TOPPOINT(トップポイント)』が、1万名以上の定期購読者を対象とした定例の読者アンケートを行い、2018年上半期「トップポイント大賞」(第28回)を決定しました。大賞受賞書籍およびベスト10冊は、次の通り。
大賞は『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
大賞に輝いたのは、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著/東洋経済新報社)。
著者の新井氏はAI(人工知能)を研究する数学者で、東大合格を目指したAI「東ロボくん」の開発者でもあります。
「AI」は昨今のビジネスシーンで、注目度の高いテーマです。関連書籍も多く、中には「シンギュラリティ(※)が到来する」「AIが人類を滅ぼす」などの不安を煽る内容も見受けられます。
そのような中で、新井氏は本書で冷静に、「シンギュラリティは来ない」と断言します。ですが、AIは人から多くの仕事を奪うと予測しています。そして、教科書もろくに読めない、読解力の低い今の子どもが、将来「AIにできない」仕事に就くことができず、社会に失業者が溢れる「AI恐慌」に行き着くのではないか――と警鐘を鳴らします。
今回の読者アンケートでは、「自らの経験やデータをもとに説明してあり、説得力があった」「未来に向けた教育について問題提起されている」といった声が多数寄せられました。
※AIが自律的に自分自身よりも能力の高いAIを作り出すことができるようになること
新井紀子氏の受賞コメント(全文)
今回の受賞へ寄せた、著者の新井紀子氏からのコメントを紹介します。
拙著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」をTOPPOINT大賞に選んで頂き、大変光栄に思っております。
ビジネスシーンで活用が始まっているAIですが、実は「意味」を理解して処理を行っているわけではありません。ところが、中高校生もAIに似たような文章の読み方をしており、教科書すら正しく読めていないという実態が明らかになりました。これでは、人がAIを使いこなして生産性を上げる前に、人の方が職場から駆逐されてしまいます。
人とAIが共存共栄するために何をすべきなのか、拙著を通じて多くの方と問題意識を共有できればと願っております。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』に投票した読者のコメント(抜粋)
数々のシンギュラリティ神話を歯切れよくバッサリと切っていく。後に残るのはAIに関する正確な現状認識。専門家からの警鐘という意味も含めて、良い本だと思います。(40代・男性)
最近はAIに関するニュースが多く、あまりにも危機感を煽る論調に違和感を持っていた。そんな中で手にしたこの本は自らの経験やデータをもとに説明してあり、説得力があった。(50代・男性)
AIは現時点では所詮機械であり万能ではない。そのためいかに活用するかが焦点となる。至極当たり前の話であるがその点について冷静に議論されている。(60代・男性)
AIの時代に必要とされることが、言語能力であるという逆説的だが的を射た議論に納得した(40代・男性)
2018年上半期「トップポイント大賞」およびベスト10冊(一覧)
【 大賞 】『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 新井紀子 著/東洋経済新報社
2位 『インド・シフト』 武鑓行雄 著/PHP研究所
3位 『生きている会社、 死んでいる会社』 遠藤 功 著/東洋経済新報社
4位 『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 森本あんり 著/NHK出版(NHK出版新書)
5位 『ブルー・オーシャン・シフト』 W・チャン・キム 他著/ダイヤモンド社
6位 『百歳人生を生きるヒント』 五木寛之 著/日本経済新聞出版社(日経プレミアシリーズ)
7位 『深く考える力』 田坂広志 著/PHP研究所(PHP新書)
8位 『EA ハーバード流こころのマネジメント』 スーザン・デイビッド 著/ダイヤモンド社
9位 『遅刻してくれて、 ありがとう(上)(下)』 トーマス・フリードマン 著/日本経済新聞出版社
10位 『ブルー・オーシャン戦略論文集』 W・チャン・キム 他著/ダイヤモンド社
今年は酷暑が続くとの予想もありますし、夏季休暇はアウトドアで活動するよりも、涼しくした自宅でビジネス書を読んでみるのがいいかもしれません。
情報:PR Times