捻じ曲げた解釈を押し通す「いじめ防止法」無視のダメ教師たち

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教育の現場で頻発する「いじめ」を見つめ続けてきた無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』。今回の記事では、いじめに関する問題意識が教育現場に根付いてきつつある一方で、未だにいじめの事実すら認めないケースを批判。セクハラもパワハラもいじめも根は同じ、された側がそう捉えたのなら、被害として認めないといけないと説いています

「児童等の尊厳を保持するため」の法律

今年6月で、いじめ防止対策推進法(いじめ防止法)が制定されてから5年になり、学校現場も変わってきました。いじめを見逃してはいけないという意識が、学校現場に根付きつつあります。しかし、中には、「喧嘩だ」「仲たがいだなどと言っていじめを認めようとしない教師もまだいるようです。

6月29日、文部科学省で開催された「いじめ対策協議会」を傍聴しました。会議中に、文部科学省が、総務省から、今年3月、「法律のいじめの定義を限定解釈しないように周知徹底すること」「法律等に基づく措置を確実・適切に講ずることを周知徹底すること」など、いじめ防止対策推進法を守るようにとの勧告をされていたことが報告されました。

法律で「いじめ」の定義は明確に定められているのですが、文科省が発表する、児童生徒1,000人当たりの「いじめ認知件数都道府県間で約19倍と大きな差があります

総務省はこのような状況を問題視し、各地の教育委員会等が設置した第三者委員会の調査報告書67通を分析して、教師がいじめ認知の際、継続性、一方的、集団性など法律のいじめの定義とは別の要素を判断基準としていたり、「この程度は悪ふざけやじゃれ合いで問題ない」、「本人が『大丈夫』」と言ったからいじめではない」などと、いじめ防止対策推進法のいじめの定義を限定解釈しているケースが多数あったことから、文科省に前述の勧告がなされたのです。

「いじめ対策協議会」では、総務省からの「勧告」をふまえての文科省の対応が紹介されました。対応としては、生徒指導担当者の会議等で「勧告」内容を周知徹底すること、全国の教育委員会に勧告を踏まえた「通知」を3月26日に発したこと、「通知」の内容は、いじめの認知件数がゼロであった場合にはそのことを児童生徒や保護者に公表し、認知漏れがないか確認すること、いじめの認知件数に学校間で大きな差がある場合には、その原因を分析し、いじめ認知への消極姿勢や認知漏れがないか確認すること、いじめの認知にあたっては、加害行為の「継続性」「集団性」等の要素により、法律のいじめ定義を限定的に解釈しないこと、全ての教職員に資料を配布するなどして、いじめの正確な認知に関し共通理解を図るなど周知徹底すること、本年5月末時点において、全ての学校で取組みがなされたか確認すること等であると紹介されました。

総務省が勧告したことは意外でしたが、今回の文科省からの通知で、今年秋に発表される昨年度のいじめ認知件数に変化があるのか、注目していきたいと思います。

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