なぜ今オウム死刑一斉執行なのか?法務省がケリをつけた訳

 

民主党政権時代の千葉景子法相は、二人の死刑執行を命じ、絞首刑の現場に立ち会った。もちろん大臣の立会いなど、過去に例はない。

千葉法相は就任以来、検察庁、法務省を回議して上がってきた死刑執行命令書に決裁の署名をするのを拒んできた。

だが、法相としての責任を問われ、プレッシャーを受けるなか、法務官僚の説得を受け入れざるを得なくなった。サインするだけでは済まない心境だったに違いない。

上川法相の場合、どうだったのだろうか

元刑務官、坂本敏夫氏は著書「死刑のすべて」で、死刑を決める人間と、執行する者との没交渉ぶりをこのように書いている。

死刑を求刑した検事、死刑の判決を下した裁判官、死刑の執行命令起案書に印鑑を連ねた官僚と大臣を数えれば百人を超す。彼らは死刑執行の現場には一歩も立ち入らない。全くの部外者なのである

そして、最終決断をする法務大臣については、このように疑問を投げかける。

霞ヶ関の近代的な高層ビルにある大臣室の窓からは皇居、丸の内、日比谷一帯を見渡せる。この景色を見ながら果たして暗い陰湿な刑場を想像することができるだろうか

被害者側の感情を思うなら、そのような想像は無用かもしれない。死刑執行を命じる役割を担う法相には、死刑囚への思いやりより、冷徹さが求められるかもしれない。

それにしても、同じ月の間に、13人の死刑を執行するというのは前代未聞である。国際社会からの厳しい批判も十分に予測できただろう。

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