現役医師が警告。航空機内で具合が悪くなったときの「NG行動」

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機内で具合が悪くなっても「このくらいの症状で周囲からも注目されるのは嫌だな…」などと躊躇していませんか?しかし、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田安春先生は、機内の環境は地上とは異なり、持病を持っている人は特にリスクが高いとした上で、やらない方がよいNG行動と、具合が悪くなったときにすべき行動について具体的な例を挙げて解説しています。

航空機内でのドクターコール

仕事の関係で私はよく航空機を利用します。急病の方が出たとのドクターコールに対応したことが私には2回あります。1回目は成田からマニラに向かう国際線の中でした。失神した患者さんを診察しました。2回目は那覇から羽田に向かう国内線の中でした。乳児の意識障害でしたが、出発直前でしたので、その子を病院に送るために出発を遅らせるようにアドバイスしました。

近年では、高齢者や慢性疾患を持つ方々を含めて、多くの人々が航空機を利用するようになっております。2023年までには、国際線航空機乗客の半分は50歳以上で占められると予想されています。航空機内での急病への対策を医師や航空会社は考えておく必要があります。

これまでの調査結果では、よくみられる症状として、頻度の多い順でみると、失神呼吸困難嘔吐そして胸痛があります。失神の原因で多いのは血管迷走神経反射であり、過度の緊張や疲労などで起こることが多く、通常は横になって休んでいるだけでよくなります。アルコール類を大量に飲んだ状態でフライト内の恐怖映画を観たときなどでも起こりますので、フライト内では過度の飲酒や慣れない恐怖映画を観るのは控えたほうがよいと思います。

しかし、失神の原因には、命にかかわるものもあります。心臓の重篤な不整脈や心筋梗塞、肺塞栓症などです。このうち、肺塞栓症は静脈系にできた血栓が遊離して血流に乗り肺の動脈に詰まるものですが、以前はエコノミークラス症候群と呼ばれていました。しかし、ファーストクラスやビジネスクラスでも起こすことがあります。むしろ、長距離のフライトそのものがリスクであることが判明していますので、最近ではロングフライト症候群と呼ばれています。

航空機内の環境

航空機内の環境条件は地上とはかなり異なります。高度1万メートルを飛行する航空機内では、圧力は0.7気圧程度となるため、酸素濃度は地上の約70%まで下がります。これにより、血中ヘモグロビンの酸素飽和度は健康人でも92%程度まで落ちてしまいます。呼吸不全の診断は血中ヘモグロビンの酸素飽和度が90%未満ですので、かなり酸素飽和度が低下することがわかります。

血中ヘモグロビンの酸素飽和度がこれだけ下がると、もともと心臓や肺に病気がある人では、症状を悪化させるリスクがあります。心臓を栄養する血管が細くなる狭心症の人では、狭心症発作の症状としての胸痛が起きることがあります。また、慢性閉塞性肺疾患などの慢性の肺の病気の人では酸素不足による状の悪化をきたすことがあります。

航空機内の環境条件で次に大きな問題は、湿度が約20%とかなり乾燥することです。このため、気道粘膜が乾燥しやすくなり、喘息の発作が起きやすくなります。狭心症や慢性閉塞性肺疾患、喘息などの病気を持つ人が、機内で胸痛や呼吸困難を感じたら、直ちに客室乗務員をコールするための座席への備え付けボタンを押しましょう

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