2.授業実践【導入~展開~終末】
それでは、実際に行った授業を展開してみます。まず、授業の始めに、赤ちゃんの人形を持参しました。それは、自分がこの世に誕生したときの姿を思い浮かべられるようにとのことです。さらに、私自身の子供を出産したときの体験を語りました。
- 体内に新しい命が宿ったことを知ったときの喜び
- 命が体の中で次第に成長していく楽しみ
- 毎日、胎児に語りかけ、たくさん会話をし、そして、無事に生まれてこられることを神仏に祈る思い
- 胎児の成長とともに、母胎は体力を消耗して免疫力が下がり、帯状庖疹になってしまったこと
- 高齢出産になるので、医者からはダウン症のリスクが高いと指摘された
- 出産のときは、二日間くらいかけて、やっとの思いで出産できた
- 命のすごさ、尊さ、力強さ、素晴らしさの実感
ここまで話して、教材「あなたはすごい力で生まれてきた」を朗読します。この後で生徒たちの考えを深めさせる時間をとりました。具体的には、心に響いてきたこと(部分)を、それぞれの思いを大切にしながら、感想や意見を述べてもらいます。
クロージングとしては、まず写真を提示します。「コンクリートのわずかな割れ目から芽を出している植物」の写真。「重い石を押し上げて芽を出している植物」の写真。等々を提示しながら、生徒に「命」の力強さを実感してもらいます。
さらに、『自分をえらんで生まれてきたよ』(いんやく りお著 サンマーク出版刊)という書籍から、りお君の言葉を紹介しました。
この本は、理生(りお)くんが片言を話し始めた頃から9歳までにおしゃべりしたことを母親が書き取ったものです。
- 生まれる前、ぼくは、宇宙にいた。流れ星に、乗っていた
- ぽくは、雲の上からいろいろ見て、「ここの家がいい」つて、すぐに決めて、神さまにいいに行った。「一度決めたら変えられないよ。いいんですか」つて、神さまにいわれて、「ここしかない、ここがいいんです」といった
- 指をぐるぐる回したら、目が回るくらいの渦まきができて、それがどんどん細長くなって、米粒みたいになって、ピカツと光って、それで、ママのおなかに入った
- 生まれてくるっていうのは、幸せなんだよ。生きているというのは、大きな奇跡。あたりまえと思っている人も多いけれど、奇跡なんだ。だから、ぼくは早くおとなになって、みんなにそれを伝えたい
- 生きているというのは、大きな奇跡。みんな、だれでも、たましいはあるたましいは死なない。だからこそ、ぼくたちは、喜びで、大きく生きのこれる
生まれる前の記憶をもっているという子供は、かなりいるようです。ちなみに、ある産婦人科医の先生が、長野県諏訪市・塩尻市の保育園に通う子供を対象にアンケートを実施したところ、胎内記憶は33%、誕生記憶は21%の子供が「ある」ということだったそうです。
授業のしめくくりの言葉は、つぎのような内容で余韻をもって終わりにしました。
「一人の命が生まれてくるというのは、本当に奇跡です。『生まれる前から、両親や自分の人生をよく考え、お母さんのお腹から出るときは、すごい力を発揮してこの世に誕生してくる。』そう考えると、自分が、今ここに生きているのは、決して当たり前のことではなく、この世の神秘、命の尊さ、人との出会いの不思議を感じます。命あるもの全てをあたたかく包み込んでいる何か、大きく、かけがえのない存在さえも感じられます。
そんな中で、私たちは、『生かされている』ことを改めて確認すると、自分が、今、生きていることに感謝したいという思いが心の底から湧き上がってくるように思います。」