アメリカ大統領でも思い通りにならない
私たちは、「総理大臣ならなんでもできる」「大統領ならなんでもできる」と考えがち。しかし、実際は、そうでもないのです。わかりやすい例をあげましょう。
トランプさんは、選挙戦の頃から「プーチン愛」「ロシア愛」を公言しています。言葉だけでなく行動も起こしている。ヘルシンキでプーチンに会い、米ロ関係を劇的に改善させようと試みました。しかし、この問題でトランプは、孤立しています。
しょっちゅう書いていますが、米ロ関係改善については、全民主党、共和党反ロシア派、国防総省、国務省官僚、諜報機関、反トランプ、反プーチンマスコミなどが反対している。要するに、「大部分の勢力」が反対している。それで、トランプはロシアとの関係を改善できません。
アメリカ議会は、トランプの意向に逆らって、ロシアに追加制裁を科すことを決めた(8月8日)。このことは、「トランプの意向が、対ロ政策に反映されていないこと」を示しています。そう、世界最強のアメリカ大統領でも、他国との関係を勝手に決められるわけではないのです。
では、どうやって改革するのか?
大統領や総理が、「やりたいことをやれない状態」にある。その時、どうすればいいのでしょうか? まず、「重要課題」を一つに絞ります。そして、味方を増やしていく。味方を増やすために、妥協が必要なこともあるでしょう。そこは、最重要課題解決のために、妥協していくのです。
安倍総理は、これまでどんな改革に取り組んできたのでしょうか?
2013年、最重要課題は、「金融緩和」だったのでしょう。おかげさまで、日本の景気は、だいぶマシになりました。その次は、「集団自衛権行使」を認める「安保関連法」だったのでしょう。おかげさまで日米関係は改善され、中国は尖閣侵略が難しくなった。次は、「働き方改革」でしょうか。内容はお粗末でした。それでも「働き方改革!」「働き方改革!」と騒いだおかげで、「残業が減っています!」という報告が、たくさん届いています。そして今、総理はついに「憲法改正」をターゲットにされているようです。
このように、何かの改革をするためには、
- 重要課題を一つに絞る
- 大多数の勢力を味方につける
ことが不可欠になってきます。