イギリスで何が起きているのか?今さら聞けない「ブレグジット」

 

このときに、「欧州懐疑主義」つまり「EU離脱派」の中心となったのは「ボリス・ジョンソン」ロンドン市長でした。非常に人気の高い政治家で、なおかつ、その主張は歯に衣着せず、自分の内容をしっかりと主張するという感じです。

もともとは保守系紙『デイリー・テレグラフ』記者で1989年から1994年まで同紙のEC特派員としてEUの本部のあるブリュッセルに派遣されます。欧州統合の強力な推進者であったジャック・ドロールを厳しく批判、ECの首都たるブリュッセルの地にあって、数少ない欧州懐疑主義のジャーナリストとして知られるようになっていくのです。

以前は左派によって主張されることが多かった欧州懐疑主義を、右派にとって魅力的なものに変貌させるのに大きく貢献します。この国民投票の時もEU離脱の論陣を張り「ほかに選択肢はない」として、そのまま運動を継続します。

そして、キャメロン首相が辞任後、当然のごとく内閣になると思っていたが、本人は立候補せず、キャメロン内閣の中で離脱派でもあったテリーザ・メイが首相となったのです。

メイ首相就任で変わった風向きと蠢く欧州の右傾化

ここで2つの動きがでてきます。1つの動きは、「EU残留派の揺り戻し」です。このことは「本当に離脱をして大丈夫なのか」というような感じになってきます。どこの世界にも「現状が大きく変わることに関する漠然とした不安」がありますが、その内容を非常に多くの人が感じます。

現状の怒りやEUの矛盾だけではなく、キャメロン首相に対する批判票が入っているということが大きなポイントになったと説明しましたが、そのポイントの中において「離脱しないでもキャメロンでなければなんとかなるのではないか」というような感覚が出てくるのです。

このような時に、もっとも政治的に困るのは「どっちつかずの中間派」ということになります。まさに、どっちの結論になっても反対するというような人が、日本にもいますが、そのような存在が国家を停滞させるのです。

そこで、「積極的残留派」と「なんでも批判派」「漠然とした不安派」という三つの派閥が形成され、その中においてメイ首相を攻撃することになります。

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