「日本人らしさ」はウリにならず。世界との付き合いで重要なこと

 

「異文化を理解し合う」ということは、一方的に寄り添い、合わせることじゃない。なんなら、今の日本人なら各国の人間に「もちょっと理解しろよ、こっちのことを!」くらいに言った方がいい。それくらいで、ちょうどいい感じ。そう思います。それくらいでやっと真の「国際交流」。

そう「異文化理解」より、「英語」より、世界とコミュニケーションするのに、いちばん必要なことは「個」の力だと思います。自分が、こんな人間だよ、と相手が感情移入できる何かを持っているかどうか。そこに、ナショナリティは不要です。NIPPONも、Englishも関係ない。おもしろくって、やさしくって、いいやつなら、世界の方から寄ってきます。友達になりたい、と。ビジネスしたい、と。必要以上にへりくだるのは、マイナスでしかない。必要以上の自己主張も意味がない。

かつて、僕の会社に、アメリカの某有名大学を卒業し、MBAまで取得した男性営業マンがいました。彼の話すビジネス英語は完璧で、アメリカのカルチャーも相当、熟知していた。ただ、ちょっとだけ、ヤなヤツ(笑)でした。上から目線の態度に、しばしばクライアントからクレームが入ったこともありました。結果、まったく営業数字は上がらず、やめていきました。

英語が得意とはいえず、日本から来たばかりの、とにかく一所懸命な女性インターンがいました。彼女はいつも笑顔で、どんどんニューヨーカーにぶつかっていきました。お世辞にも英語コミュニケーションが上手とは言えなかった。それでも、クライアントからの評判はよく、営業数字もどんどん上がっていった。

もちろん、これは極端な例だと思います。くどいようですが、海外で仕事をするのに、語学力と、異文化を積極的に受け入れる許容力はまちがいなく必要。でも、それ以上に必要なものがある、という話です。

現に、彼女はいわゆる「カタコト英語」で、契約を取り続けました。「おっけー、おっけー、サンキュー。プリーズ、クレヂっとカード、バンゴー!、あ、バンゴーって日本語だ、きゃはは」と笑いながら。当然ですが、完璧な英語を話す態度の悪い営業マンと、英語はカタコトだけれど、愛嬌あって、一生懸命頑張ってる営業マンと、どちらの話を聞きたくなるかは、言うまでもありません。そこは、全世界共通なはずです。

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