なぜ地球温暖化が労働時間を削減するのか。気候と収入の深い関係

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猛暑が続き熱中症で多くの方が命を落とした2019年の夏ですが、異常な暑さは世界的なもので、米海洋大気局は先日、6月に続き7月の平均気温も過去最高だったと発表しました。北極圏の氷の融解や山火事の頻発などその影響は深刻なものでしたが、異常気象と労働時間の意外な関係を紹介しているのは、健康社会学者の河合薫さん。一体どういうことなのでしょうか。河合さんが自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で詳述しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年8月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

異常気象で労働時間が削減? 過去最高の危険な暑さ

世界中で記録的な猛暑が続き、世界の7月の気温が20世紀平均を0.95度上回り史上最高だったことわかりました。6月も過去最高だったので、2ヶ月連続の更新となります。

米CBSは、NASA観測で気温の上昇に伴い北極圏のグリーンランドでは24時間で125億トンの氷が融解したと報じ、これはグリーンランドを覆う氷の表面の約60%フロリダ州全土を水深13センチの水で覆う規模に相当するそうです。

また、シベリアなどの北極圏では大規模な山火事が頻発。6月以降、100件以上起きるなど、異例の事態となっています。

「温暖化は本当なのか?」と懐疑論を述べる人はいまだにいますが、このように実際に気温が過去にないスピードで上昇していることはまぎれもない事実です。

地球はかつてないほど燃えている。そして、その度合いはどんどんと加速していて、私たちの生活を直撃しているです。

氷河期がなぜ存在したのかを研究し、1896年に科学者として初めて大気中の二酸化炭素の量の変化が温室効果によって地表の温度に影響を与えるという考え方を示した科学者のアレニウス・スヴァンテ博士は、今から100年以上前の産業革命初期のストックホルムで、「今、スカンジナビアで、ロンドンで、パリで、ニューヨークで燃やされている石炭は、世界中の人の暮らしに役立っている。しかしながら、この素晴らしい発展は未来に黒い陰を落とすに違いない。そして、そのことに多くの人たちが気付いたときは既に手遅れになっているだろう」と、汚染で黒ずんだ空に点在する煙突をみながら呟きました。

確かに私が子供の頃、「暑い!」基準はせいぜい28度で、冷房などなくても夜寝ることはできたし、高齢者が自宅で熱中症になることも滅多にありませんでした。ゲリラ豪雨もありませんでしたし、土砂災害も今ほど頻発していませんでした。

その「異変に皆が気付いてのは21世紀に入ってからです。もう手遅れ?とは思いたくありませんが、このままだと取り返しのつかない事態になる可能性が高い。そして、その不都合な事実のしわ寄せを受けるのは常に弱者であることを忘れてはなりません。

国際労働機関(ILO)の報告では、異常気象により2030年までに世界の労働時間は平均で2%減少。地域別では途上国ほど大きく、南アジアで5.3%、西アフリカ4.8%。長時間労働の削減が課題の日本では、「へ~、温暖化で労働時間減るんならいいじゃん!」と受け止められてしまうかもしれませんが、建設や農業などの屋外作業が大半をしめる途上国では、労働時間の減少は収入が減ることを意味します。

干ばつや洪水が増えれば、農業の収率が激減する。食料の供給にも影響が出てるので、飢えと暑さで死亡する人も増えると可能性が高まっていくのです。

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