脱競争原理のオタク主義。勝負せず生きていくために必要なこと

 

3.脱競争原理のオタク主義

現世は競争で溢れている。予算、ノルマ、成績、昇進、昇給等々。競争に疲れた人は、競争のない世界を探す。例えば、マンガの世界。あるいは、アニメ、ゲームの世界。一人で独自の世界に閉じこもることは、誰の迷惑にもならない。そして、競争を避けるためには、より細かい分野に興味を集中させる。ナンバーワンではなく、オンリーワンの存在を目指す。それによって、仲間から認められる。尊敬され、存在を許容される

最近は、オタクがビジネスにつながるようになってきた。しかし、「オタク文化を輸出しよう」と官僚が言うのは馬鹿げている。官僚達が信じてきた価値観とは全く別の価値観で生きているのがオタクであり、彼らのビジネスも官僚の発想とは異なるものだ。

オタクはインターネット以前から存在するが、インターネットにより、世界が広がった。世界中のオタクがつながり、オタクが蔑称ではなく、尊称に変わったのだ。オタクに市民権を与えたのはインターネットだ。

そもそもインターネットの世界は、ヒッピーの価値観が色濃く残っている。中央集権ではなく、分散処理であり、フリー、シェア、コミュニティの思想がある。「競争の果てには幸せはない。それより、コミュニティの中で楽しく暮らそう」というメッセージが込められているのだ。

そう考えると、オタクとインターネットの相性はとても良い。これまでの教育とは全く異なる原理であり、価値観で動いているのだ。

4.持続可能なビジネスを目指す

競争の世界では議論に勝たなければならない。相手を論破することが求められる。しかし、オタクの世界では、相手を認めるだけだ。オタクに勝っても意味がない。価値とか負けという世界ではない。議論ではなく、相手の話を聞くだけだ。そして、互いを認め、安易に近づかない

競争しないということは、ビジネスの規模を大きくしないということでもある。みんなが小さいビジネスをすれば、みんなが持続可能になる。成長は質的な向上を目指すべきであり、量の拡大を目指してはならない。規模が大きくならなければ、大企業は参入してこない。目指すのは、持続可能なビジネスである。

勝負しないで生きていく。ささやかに好きなことを持続して生きていく。精神的な満足を追求して生きていく。これを実現するには、世の中の仕組みを理解しなければならない。常に大企業や官僚の動きをリサーチし、それと適度な距離を置かなければならない。マスコミが煽る価値観に乗ったのでは競争に巻き込まれるだけだ。消耗して、ストレスが溜まり、不健康になる。

競争を選ぶ人はそれを突き進めばいい。しかし、競争しなくても、幸せに生きる方法があることを伝えたいと思う。

image by: Shutterstock.com 

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