思いやりのある人間に育てたい、子供の心をしっかり育みたい…、親ならば我が子に対してそう願うものです。とはいうものの、どうすればそのようなことが可能なのかの「正答」を見つけることは容易ではありません。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では、漫画『ドラゴン桜』の指南役として知られる親野智可等さんが、子供を医師や弁護士に育てたとある家庭の例を紹介してくださっています。
人形遊びで表現力、読解力、思いやりの気持ちが育つ
神奈川県の鈴木さん(仮名)は長女、長男、次女の3人を育てあげ、子どもたちは精神科医、弁護士、服飾デザイナーとして活躍中です。鈴木さんは子育てを振り返って、子どもたちにやらせてよかったと思うことの一つに人形遊びを挙げています。
そもそもの始まりは、長女に○○ファミリーという人形セットを買ってあげたことです。セットには動物の家族や家具などが入っていて、長女は人形遊びに夢中になりました。
例えば、ネコ一家のお母さんの人形を持って、「さあ、もうお布団に入りましょう」と言いながらネコの男の子を寝かしつけます。すると、次はネコの男の子を持って、「イヤイヤ、まだ寝るのイヤ。もっと遊びたい」と言います。
しばらく一人遊びを楽しんでいましたが、そのうちに長男と次女も加わって3人で仲よく遊ぶようになりました。お母さん役、お父さん役、子ども役を交代で受け持ち、即興で会話をする遊びがメインです。日曜日の昼食、普段の日の夜、夏休みの一日など、場面を決めて物語のように進めることもあったそうです。
少しずつ他の人形や家具も買い足していき、着せ替え服、お店セット、学校セットなども揃えました。お店セットでは店員と客が登場するお店やさんごっこ、学校セットでは先生と子どもが登場する学校ごっこを楽しみました。
鈴木さんはその頃を思い出しながら言います。「お話をつくりながら、登場人物の気持ちを想像して演技するのがとてもよかった。表現力もついたし、人の気持ちがわかるようになって読解力もついた。何より大事なのは思いやりの気持ちが育ったことだと思う。こう言えば相手はこう感じるとかわかるし、妹の役をやれば妹の気持ちが想像できるわけですから」。
私は「なるほど!」と思いました。人形遊びの教育的効果、実にすばらしいですね。
初出『Smile』(学研エデュケーショナル)
image by: Shutterstock.com