ツイッターで80万人を超えるフォロワーがいる警視庁災害対策課のアカウントをご存知でしょうか。そんな、もしものときに役立つ便利な技のツイートが、一冊の本にまとまったようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では、編集長の柴田忠男さんがその本を徹底レビューしています。
偏屈BOOK案内:『警視庁防災対策課ツイッター 防災ヒント110』
『警視庁防災対策課ツイッター 防災ヒント110』
日本経済新聞出版社
オレンジ色の表紙が大目立ち。警視庁警備部災害対策課の人気ツイッターを編集し、人気&有用性が高い(という)110項目にまとめた防災ヒント集。むりやり110編という感じもしないではないが、「もしものとき」にも日常生活にも一応役には立ちそうだ。基本1ページに1ツイートと、写真、解説の構成。
警視庁警備部災害対策課は、警備部に所属する課のひとつで、地震や豪雨などにより災害が発生した際に、警察として必要な対策を行う部署である。救出救助部隊を被災地域に投入して、迅速な救援活動にあたるほか、必要な情報収集や部隊支援活動を行なう。このツイートは2011年の3.11東日本大震災の際に、ネット上のデマ情報の打ち消しと、正しい情報の発信のために始められた。
SNSを使っての情報発信・拡散・交流の中で、特に拡散力のあるツイッターを用い「警視庁警備部災害対策課」のアカウントから「正しい情報」を発信し、フォロワーの力で拡散していくことを目的に、2013年1月にツイートを開始した。リツイートが初めて1万件を超えたのが「ツナ缶で簡易ランプ」だった。7月9日現在、反響1位は「10円玉で袋を簡単に開ける方法」。しょぼい……。
お菓子の袋など、素手で開けられない時、袋上部の閉じた部分を2枚の10円玉で挟み込み、こすりあわせるようにスライドさせると簡単に開く。「水でカップ焼きそばを作ってみた」「水でカップ麺を作ってみた」なんてのも上位。カップ麺は15分、カップ焼きそばは20分、麺の固さと味はバッチリだという。袋麺は開けた袋に水を直接注いで15分。これらは簡単、試してみようと思った。
新聞紙はオールマイティだぞ。生ゴミを包み水分を吸収させ、ポリ袋に入れ密閉。ニオイは激減、見た目に不快感はなくなる。新聞紙で薪を作る方法(写真入り)、水でふやかし、形を整えて乾燥させる。木のような安定した火力を得られる。くしゃくしゃに丸めた新聞紙を70リットルポリ袋に入れる。そこに足を入れれば保温効果でとても温かく、避難所での防寒対策としてとても有効。
実践ロープワークは、災害時だけでなく日常でも使える。基本的な、もやい結び、巻き結び、本結びは、大人も子どももマスターしておかなければなるまい。針金ハンガーの左右先端をつぶしてペットボトルを差し込む。洗濯物をかければ空間ができているから乾きやすい。ホット用ペットボトルに沸騰前の湯を8割程度入れてふたをする。タオルをまいてゴムでとめれば湯たんぽになる。
ラップはスマホの防水に活用できる。食器にラップを巻いて使えば洗い物が出ない。ラップでおにぎりを握れば衛生的で手も汚れない。ラップを丸めてスポンジ代わりにすると少量の水でもきれいになる。ラップは新聞紙、ガムテープと並んでオールマイティだから、必ず防災用品に入れておくこと。和式トイレの使い方も絵入りで解説されている。もう和式を知らない世代も多いのだ。
ツイートは課員のうち30~40名が交代で行っている。いま現在、80万人を超えるフォロワーがいる。メディアでの反響などからも好評らしい。災害による混乱が予想される中、必要な情報をタイムリーに発信することが使命だ。最近では動画も使ってより分かりやすい発信をしていて、本よりわかりやすい。しかしSNSなんかうざったいと思う偏屈老人(わたし)は、絶対に近づかないのだ。
編集長 柴田忠男
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