企業や著名人による税金申告漏れなどの報道は、「やはり悪いことはできないものだ」などと身を引き締めるきっかけになり得ますが、では、膨大なデータからどう目星をつけたのか、その優先順位などに疑問が湧いたことはないでしょうか。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で現役税理士の今村仁さんが、税務署が実際に税務調査に乗り出す手がかりとして頼る情報源や具体例を記しています。
税務署の情報収集の手口
税務調査の季節です。有名お笑い芸人の報道もされました。今回は、税務署はどのような手段・方法で、税務調査のきっかけをつかんでいるのかの話です。
税務署の情報収集5つ!
税務署が、脱税や課税漏れのきっかけを探るために事前に大事にしているのは、下記5つです。
- 法定資料
- 実地調査資料
- 週刊誌の記事やインターネット上での記事等の噂
- 内部告発
- 第三者通報
法定資料
年末調整時に、「源泉徴収票」や「報酬・不動産賃借料の支払調書」などを会社が税務署に提出します。また、銀行や保険会社、証券会社等の金融機関が、例えば海外送金等について法定資料を税務署に提出します。更には、会社に任意で、「取引資料せん」の提出を税務署が依頼しています。これらは全部で50種類以上に及びます。
例えば、会社が提出した不動産賃借料の支払調書は、それを受け取る貸主側では売上ですから、もしその申告がされていないのであれば、調査が入るといった具合です。
実地調査資料
税務調査官が税務調査を実施している際に、合わせて、「反面調査」を行っていることがあります。反面調査とは、税務調査手法の1つで、調査対象者の取引先等に対して実施される税務調査のことです。つまり、当社の事ではなく取引先のことを調べるために、当社の仕入や外注費をチェックするのです(取引先では、共に売上です)。
実地調査におけるこれらの資料をきっかけとして、税務調査に入ることもあります。
週刊誌の記事やインターネット上での記事等の噂
税務調査の対応をしていると、実感として思うのは、特にインターネットは昨今よくみられている感じです。実際、法人税申告書における事業概況書にも、HPアドレスを書く場所があります。
表立っては誰もいわないのでしょうが、実際は、調査前に、会社名や法人代表者名でネット検索されているのではないでしょうか。例えば、ネット記事や週刊誌記事で、流行りのお店と紹介されているのに、実際の決算書上の売上や利益が少ないと、なぜ?となる感じです。
内部告発や第三者通報
税務署には密告制度があります。特に、相続関係に多いようです。また、退職者やライバル会社からの密告もあるようです。
- もめている会社→経理どんぶり勘定?、ワンマン経営?→経理ミスなどがあるのではないか→税務調査
となるケースもあるようです。
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