相手を子供時代に戻し、幸福を祈る。人気写真家の笑顔引き出し術

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スマホカメラの性能向上などもあり、日々の生活の中で写真を撮る機会は以前に比べ格段に増えています。では、どうしたら「いい写真」を撮影できるのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、長く一線で活躍されている写真家・海田悠さんが、「写真を上手に撮る姿勢と考え方」を伝授しています。

写真を上手に撮る秘訣 海田悠(写真家)

写真家として長年にわたり活躍を続ける海田悠さん。11年前の取材で、「写真を上手に撮る秘訣」をお話しくださったことがあります。本日はそのお話をご紹介します。


(写真撮影をする対象者に)スケジュールをいただいた時から私はそのお相手にテレパシーを送る。そして撮影当日は、古いタイプの人間かもしれませんが、朝風呂に入って身を清めるんです。いざ戦場という気持ちで撮影に出向きます。当時は常にそういう気構えでしたね。

そういう中で私が感じたことがあるんです。

人間は皆小さい時に夢を持って生きている。子どもは本当に無邪気な笑顔なのに、大人になると考えながら笑うようになる。そこに人生の渋みがあるのかもしれませんが、私は良寛や一休、寒山拾得のように自然体でニコニコしていられるのが人間の理想だと思います。

その時点に皆さんを帰してしまおうと考えたんですね。

もちろん、写真を撮られることに抵抗を感じられる方もいらっしゃいます。心を閉じた人にはこう質問するんです。

「初恋はありましたか。ではその時の彼女を思い出してください」
「少年時代は?」

って。すると「ん?」と言われて少年期の顔に帰っている。その一瞬をパッと狙うわけです。

もう一つ、私が撮影に際して心掛けていることは相手の幸せを祈るということなんです。よく「写真を上手に撮るにはどうしたらいいのですか」と聞かれることがあります。そういう時、私は反対に

「お子さんに最初にカメラを向けた時、どういう気持ちでしたか。この子の一生がどうか幸せでありますようにという思いで撮りませんでしたか

と質問するんです。

写真の秘訣はそこです。相手の幸せを願いながら撮る写真は、下手なプロが撮影するよりもずっと綺麗だと言えますね。

(『致知』2008年7月号)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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