「節約している」という人は、蓋を開ければエネルギーを2倍消費している
まず、電気を消したり風呂の間隔を広げたりした時点では、3万円分が節約されましたので、3万円分の資源やエネルギーが節約されました。環境省の役人や環境運動家は社会に向かって節約を呼びかけているのですから、自分も当然、毎日このような生活を送っているのでしょう。
余ったお金は銀行にたまっていきますが、銀行はそのままにしておくと利益がでないので、利子はもちろん、社屋の管理費、税金や従業員の給料も払うことができません。そこで必死になってお金の借り手を探し、企業に貸します。
借りた企業は、そのままお金を寝せておくわけにはいかないので、さっそく資材を購入して生産をします。生産会社ではなくても食料品店でも同じことです。一般的には個人より企業の方が大量に買い付けたり、購入ルートを知っているので、同じお金で大量に買い付けます。だから銀行に預けると余計に資源やエネルギーを使うことになります。
10年間はそういう状態でしたが、預金している人は「自分のお金」なので溜まってきたら車を購入しました。つまり360万円を節約した結果、銀行では企業に貸して360万円を使い、個人としては360万円で車を買ったので、節約したことによって2倍の消費をしたことになります。
これは当然のことで、銀行の役割は同じお金を何回か使うことによって、生産や消費を増やすことがその目的なので、2倍の資源を使うことになるのです。もう少ししつこく言えば、この人は節約することによって無駄な出費をやめて貯金し、車を買ったので、車を買った後の生活はさらにガソリンとか修理費、高速道路代(高速道路の維持、管理、道路の補修などに使う)がプラスされますから、以前より多くの消費をすることになります。
これも当然で「節約」というのはより効率的にお金を使うことを意味していますから、国民経済を増大させ、資源やエネルギーが多く消費されるようになるのです。
つまり、日本社会が貨幣経済で銀行があり、お金が余ったらさらに買うことができる製品が製造されていますので、「節約」というのは原理的にできないのです。もし方法があるとしたら、会社に掛け合って給料を減らしてもらうことですが、これでも個人は節約できますが、会社はそのお金をほかの人に回したり、設備を買ったりしますからやはり同じことです。
それでは環境省の役人や環境運動家が「節約しよう」と呼びかけていますが、どうしているのでしょう?筆者はかつて環境運動家と公開の場で節約についての対談をしたことがあります。お相手は女性の大学の先生でしたが、筆者がここに書いたことと同じことを言ったら、答えに窮して、そこで対談が終わりになったことがあります。
おそらくは、この日本で誰も節約をやっていないと思いますが、それでも節約、節約というところに今の異常な日本があります。こんなことで難しい温暖化など考えることはできないと思います。(メルマガより一部抜粋)
image by: Shutterstock.com