安倍首相は27日に急遽行われた対策本部の会議で、全国すべての小学校、中学校、高校、特別支援学校に3月2日から春休みまで臨時休校を要請した。休校申請については共働き世帯が混乱する点や、政府に権限はないという点から政府内では消極的だったが、慎重な文科省を首相が押し切ったとの見方が大勢だと時事通信が報じている。
安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の小中高校に臨時休校を呼び掛ける異例の対応に踏み切りました。政府内の慎重論を首相主導で押し切った形です。https://t.co/htV8F7vdtB
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) February 27, 2020
背景に内閣支持率の低下
安倍首相が先頭に立って取り組んだ水際対策が失敗に終わり、国内での感染者が後を立たない。当初、政府は中国側から「大ごとにしないでほしい」との要請を受け、発熱症状や中国・武漢市への渡航歴、武漢滞在者との接触がある人だけをウイルス検査の対象としていた。しかし、感染ルート不明の感染例が続出。「1月時点で中国人全員の入国を止めるしかなかったが、もう遅い」と首相側近が漏らしているという。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に対する措置も、乗員・乗客を早く降ろすべきだったが、隔離する場所がないとして、ゾーン分けが不十分な船内にとどめたことが「かえって集団感染を悪化させた」と国内外で指摘されている。また、乗客を「検温・問診」のみで下船させ、隔離もせずに公共交通機関で帰宅させたことも批判の対象となった。下船後の検診で陰性だった乗客のなかには、数日後に感染が確認された人もいる。
このような政府の対応には、当然のことながら多くの批判が集まった。こうした反応を受けて、安倍首相は「自身の指導力をアピール」するために今回の全国一斉の臨時休校を要請したとみられている。
「イベント自粛」経済への打撃
政府は25日昼時点では、経済的影響が大きいことから「イベント自粛要請は行わない」としていた。しかし、同日夕方にJリーグが公式戦延期を発表したことを受け、政府からの「感染拡大防止」のためのイベント自粛が要請された。要請の内容は、イベント自粛は「強制」せず、損害は補填しないといったもの。この対応には、アーティスト側からも批判の声があがっていた。
一般の方は「やるも、やらぬ本人判断だろ」とお思いですが、会場は早くて2年前から手配がはじまり、お客様を入れずとも多くのスタッフを危険に晒します。一律に後ろにスライド出来るなら延期も即判断出来ますが、自己責任とされているので足並みは揃いません。保険もリスクを取って加入は難しいです。
— 西川貴教 (@TMR15) February 26, 2020
能・狂言を主催する側としては、一律の自粛は求めないのに、開催の必要性を検討してほしい、というのは判断を丸投げされたに等しい。中止すればチケットは払い戻し、会場へは使用料を、出演者には違約金を払わなければならない。この損害に耐えられる主催者でなければ開催するしか選択肢がない。 https://t.co/XjE1jqs7zX
— 槻宅聡 (@tsukitacus) February 24, 2020
アーティストのライブは中止するのに、毎朝首都圏で200万人が満員電車で移動するのは批判されない不思議。
生活がかかってるから?
いや、アーティストやそのスタッフも生活かかってるよ?って話。— メンタリストDaiGo (@Mentalist_DaiGo) February 27, 2020
菅義偉官房長官は26日午後、「2週間後の対応は状況を見て判断する」との見解を示し、「この1、2週間が感染拡大の防止にとって極めて重要である」と述べていた。果たして本当に「この1、2週間」が感染拡大の防止にとって重要な期間なのだろうか。1月の水際で止められる時期こそが、もっとも重要な期間ではなかったのかと疑問が残る。実際に、初期の段階で国民の多くが政府の対策の甘さについてネットなどで指摘していた。目先のカネばかりを重視した結果、経済も、そして国民の信頼も大きく裏切る形となった安倍内閣。もう「手遅れ」であることは明らかだが、この状態をどう回復させていくつもりなのだろうか。