場当たり的な対策ばかり。「新型肺炎」で露呈した安倍官邸の無能

2020.03.03
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新型肺炎を巡る対応の遅さに批判が集中するや、突如小中高の「全国一斉休校」の要請に踏み切った安倍首相。その「決断」に日本中が大混乱となっていますが、なぜ首相はこのような決定を下すに至ったのでしょうか。ジャーナリストの高野孟さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、安倍首相と今井補佐官の「その場さえ切り抜ければよしとする悪癖」を一因として挙げるとともに、自民党ベテラン議員が解説する「予想される政権崩壊のシナリオ」を紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年3月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

安倍首相独断で「全国一斉休校」に突き進んだ政権末期症状――その場限りの「やってるフリ」戦術のなれの果て

  • 中村時広愛媛県知事「場当たり的だ」(29日付東京)
  • 熊谷俊人千葉市長「いくらなんでも…。社会が崩壊しかねません」
  • 都立高校校長「急すぎる。期末試験をしなきゃ成績もつけられないし、卒業式もある」
  • 都内市立小学校の女性養護教諭「学校なら経済に影響が少ないからと、パフォーマンス的に休校にしている気がする。……学校の方が、検温、手洗い、うがいなど管理しやすいのに」
  • 小田嶋隆(コラムニスト)「『やっている感』を出さないといけないという首相の焦りを感じる。政府の対策に批判的な世論を気にして唐突に政治決断をしたように見える」(以上、28日付朝日)
  • 与党関係者「政権末期を見ているかのようだ」(29日付毎日)
  • 自民党幹事長経験者「今回の対応が安倍さんから人心が離れるきっかけになるかもしれない」
  • 自民党中堅議員「冷静な対応を呼びかけている首相自身が冷静さを失っている」(以上、29日付朝日)

――というように、今井尚哉補佐官が脚本を書いて安倍晋三首相が独演した小中高など学校の「全国一斉休校」要請が猿芝居にすぎないことは、最初から全国民的に見抜かれていた。それで慌てて29日、土曜日であるにもかかわらず異例の首相記者会見を6時から設営して弁解に努めたが、中身は薄っぺらで、例えば上記女性教諭の「なぜ学校が先なのか」というごく自然な疑問にも答えることも出来ていなかった。

子どもたちの間に特に感染が広がっているのであればともかく、感染者の中心は30歳代から60歳代の中高年で、しかも死亡者は既往症を抱えている高齢者が多い。逆に、子どもたちには感染者は極めて少なく、死亡者も出ていない。なのに、なぜ企業でも官庁でもなく学校が先なのか。

女性教諭が言うとおり「学校なら経済に影響が少ない」ので、断固たる決意を示すにちょうどいいだろうと見たのが、今井=安倍の軽薄コンビの浅知恵で、そうすると例えば小学校低学年の子どもを持つ働き手が出勤出来なくなったり、その中には医師や看護士や介護士も含まれているので、それでなくとも人手が足りない医療・福祉の現場をはじめ感染症対応の最前線がたちまち立ち行かなくなったりすることなど、官邸からの上から目線では想像すらできなかったのだろう。

反響の大きさにびっくり仰天した安倍首相は、これによって仕事に行けなくなった人には休業補償を出すとか言ったけれども、それは本末転倒で、それでなくとも人手が足りない医療現場の窮状はカネを出したからと言って解消されるものではない。他方、この補償なるものが、一体どれだけの厚みの書類を役所に提出し、窓口で突き返されてさんざん修正して出し直したりした挙げ句、満額認められるかどうか分からず、仮に認められたとしても何カ月たったら支給されるのかも分からないような代物であることは、庶民は皆知っているけれども、今井補佐官や安倍首相は知らない。

そのことを含め、会見場に詰めかけた記者たちには訊きたいことがたくさんあっただろうし、現に「まだ質問があります」と叫んでいる者もいたのに、安倍首相は17分間だけ質問に答えただけで、司会の「予定の時間をだいぶ超過したので」という声に促されて6時45分に出て行った。その後によほど大事な用事でも控えていたのかと思って翌日の「官邸日誌」を見ると、7時12分私邸着となっている。な~んだ、予定にない質問をされるのが嫌で家に帰ってしまったのだ。

世界のどの国の指導者も、会見では質問が出尽くして手が上がらなくなるまで答え続けるのが基本ルール。ましてやこのような緊急時に国民の納得を得て一致協力、疫病に立ち向かおうという呼びかけるために会見を開いているというのに、質問を振り切って出て行って、しかも自宅に帰ってしまうというのは幼児性の行為である。

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