「一帯一路」は別名「シルクロード構想」とも呼ばれています。海と陸のシルクロードを通じて、中国からヨーロッパ、アフリカまで巨大な経済圏を構築するという構想であり、シルクロードを通って中国を訪れたマルコポーロは象徴的存在であるわけです。
そして、2019年3月にこの覚書調印が行われてから、中国人のビジネスマンや観光客が大挙してイタリアを訪れるようになりました。
「ロイター」(2019年8月20日)は、「イタリアに中国人が大挙、21世紀版シルクロードが呼び水」というタイトルの記事を掲載、覚書調印後の2019年5月~8月にかけて、イタリアを訪れた中国人観光客は、前年同期比31%増加、アジアからの観光客の数としては最も大きな伸びだったことを報じています。
胡亜敏氏夫妻も、こうしてイタリアを訪れた中国人の一人だったというわけです。
マルコポーロの時代、中国大陸を支配していたのはモンゴル帝国の大元でした。いうまでもなく、モンゴル帝国は世界覇権を目指して中東やヨーロッパまで勢力を広げましたが、その過程で、ペストが拡散したことは有名です。
14世紀にはヨーロッパでペストが大流行し、ヨーロッパの人口の3分の1近くが亡くなったとされていますが、それも中国大陸で発生したペストがモンゴル帝国の勢力拡大によって拡散したことが原因でした。
そういう意味では、中国の勢力圏拡大を目指す「一帯一路」の覚書が調印された後、イタリアおよびヨーロッパで疫病感染が拡大したことは、示唆に富んでいます。じっさい、一帯一路のルートに沿うように感染は拡大しています。
そして、現在、心配されているのが、ラテンアメリカとアフリカへの感染拡大です。開発途上国であるため、日・米・欧のように医療衛生面はあまり進んでいません。
東京も小池都知事の外出自粛の呼びかけがありましたが、日本も世界的なパンデミックの嵐の下では、決して安全、安心ではありません。
ただ、日本はかつての江戸鎖国という歴史があり、いまでも内需依存の国ですから、水と食料以外には心配は比較的少ないと思います。それに対して、外需依存の貿易・通商国家などは極めて危険な状況でしょう。
もちろん経済が崩壊すれば、政治体制も変わらざるをえない国も出てくるでしょう。今回のパンデミックによって、世界秩序は大きく変貌していくでしょう。パンデミック前と後では、世界は大きく変貌するものと思われます。
ところで、志村けん氏が新型コロナウイルスに感染したことが報じられましたが、台湾でも大きなニュースとなっています。
志村氏は2002年に、俳優の金城武氏と台湾旅行のCMに出演したことがあり、また、台湾でお気に入りのマッサージ店があるなど、台湾通としても知られています。
台湾では、2015年に木村拓哉氏と映画監督のジョン・ウーが撮影した台湾旅行のCMと「どちらが好きか?」といった論争が起こったこともあります。結果は、金城・志村の圧勝だったそうです。
志村氏の一刻も早い回復を祈ります。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年3月26日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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