「太る体質」って努力不足の言い訳?筋トレのプロに聞いてみた

 

実はもう1つ遺伝的に太りやすいパターンがあって、それはレプチンの受容体に問題があるケースです。レプチンを与えても痩せていかないネズミを調べたところ、脳細胞の表面にあるはずのレプチンの受容体が無く、いつまでたってもレプチンの満腹という刺激が伝わらないというケースがあったのです。

そしてもう1つ、別の遺伝的要因によって太りやすいというパターンがあります。それはβ3受容体という遺伝子に異変がある場合です。β3受容体とはアドレナリンの刺激を受ける受容体で、それがきっかけで脂肪の分解が進んでいくのです。

脂肪は体内では、主に白色脂肪細胞に蓄えられていて、この脂肪を脂肪酸に変換するためには、トレーニングなどの刺激によって交感神経からアドレナリンやノルアドレナリンと呼ばれるカテコールアミンを分泌させる必要があります。カテコールアミンとはいわゆる興奮系の作用を促すホルモンや神経伝達物質の総称ですが、このカテコールアミンは白色脂肪細胞の表面にあるβ3受容体に刺激を与えます。

そしてそのβ3受容体に刺激が与えられると、アデニル酸シクラーゼという酵素が活性化されることになります。このアデニル酸シクラーゼがATPをベースにしてサイクリックAMPを合成し、更にはサイクリックAMPが脂肪を脂肪酸に分解するリパーゼが活性化していきます。

つまりトレーニングなどの刺激によって興奮系のホルモンが分泌され、それを起点に次々と酵素が活性化していき、最終的に脂肪を分解する酵素に辿り着くのです。その最初の受け皿がβ3受容体です。

しかながら驚くべきことに、日本人は脂肪を分解する出発点とも言うべきβ3受容体に何らかの問題があり、せっかく運動をしてカテコールアミンを分泌させてもβ3受容体が応答しにくいという人が実に39%にも上るとの報告があります。つまり同じだけ有酸素運動をしても、速やかに脂肪が分解される人とそうでない人が存在するということです。

それに対して、コレウスに含まれるフォルスコリンにはβ3受容体を介さずにアデニル酸シクラーゼと結合し、アデニル酸シクラーゼを活性化させることが知られています。これがコレウスの機能であり、このため運動による刺激が少なくても脂肪を脂肪酸に変換させる可能性があるのです。

時にはサプリメントも活用しながら、日常生活の積み重ねの結果が今の肉体なのだという事を肝に銘じてやっていけば、体質や遺伝的要素は解決できるレベルにあると思います。

image by: Shutterstock.com

桑原弘樹この著者の記事一覧

桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ 』

【著者】 桑原弘樹 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • 「太る体質」って努力不足の言い訳?筋トレのプロに聞いてみた
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け