女の敵は女?最後まで「女性活躍」を実現しなかった安倍政権の本音

 

いずれにせよ、政府が女性活躍を掲げた背景の裏には、「女性の就業希望者(約342万人)が全員就業できれば報酬総額は約7兆円に上る。それが消費に回ればGDP1.5%増が期待できる」という試算が存在しています。

はなから女性の「顔」ではなく、「カネ」しかみていないのです。

確かに、働く女性は確実に増えました。でも、その多くは低賃金のパートなどの非正規雇用で、コロナ禍で多くの女性たち(もちろん男性も)仕事を失いました。

2014年の内閣改造時には、「《女性閣僚》改造の目玉 男性待機組50人『逆差別』の声も」なんて見出しが新聞各紙に踊りましたが、こういった思考回路そのものが、結局は女性を“ショーケースの展示品”扱いしているってことを意味しているのではないでしょうか。

日本の国会議員(衆院)や企業の女性管理職の割合は、依然1割程度でしかおらず3~4割が当たり前の英国やフランス、ドイツなどの先進国には信じがたい少なさなのに、「やりたきゃやればいいじゃん。女でも実力があれば評価するからさ」という考え方が基本なのです。

その“本音”と「女性活躍」というキャンペーンのあべこべが量産したのが、「スカートをはいたおじさん」たちです。

画面に映る政治家は「スカートをはいたおじさん」だらけです。組織の女性が紅一点であり続ける以上、「女性活躍」は前進はおろか後退します。その歴然たる事実を、7年8ヶ月という月日が証明したのです。

「紅一点の功罪」については、著書などでもくりかえし書いてきましたのでここでは書きません。しかし、7年8ヶ月もあれば、もっと変えることができた。もっと増やすことができた。本気で「女性活躍」に取り組んで欲しかった。クォーター制の議論をきちんとやって欲しかった。残念です。本当に残念です。

「組織を変えたきゃ、若者、よそ者、バカ者を入れろ!」という通り、若者もいなけりゃ、よそ者=女性もいないのです。おまけに「おかしいことをおかしい」と言えるバカ者もいません。

ポスト安倍は「アベノミクスを継続できる人」のようですが、昭和おじさん型社会がこのまま続いていってしまうのでしょうか。

みなさんの意見もお聞かせください。

image by: 首相官邸

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