なぜ「大阪都構想」を東京版朝日が報じる?違和感から見えてきたもの

 

維新が特に期待するのは、「菅政権」。松井氏と菅氏の個人的なパイプがあり、菅首相が実現すれば、検案となっている「大阪都」への名称変更もスムーズに行くのではないかと見ているようだ。

思うに、全国的に自公の関係は続くのだろうが、菅政権下、関西圏では圧倒的な強みを見せる維新と自民が「協力」していくことを通じて、結果的に自民・公明・維新の保守的な連合が成立するのかもしれない。これまでも維新は、安倍政権に絶大な「協力」を惜しまなかったが、都構想の住民投票を機に関係を深めようとしている。菅次期首相と安倍氏にしてみれば、改憲についても具体的な「協力」に進む絶好のチャンスが訪れると見ているのかもしれない。

関連記事など

この1年間に《朝日》が掲載した「大阪都構想」関連記事は、サイト内には78件。特に「大阪都構想」について論じていないものを除けば、60件くらいはありそうだ。特徴的な記事を何本か取り出して見よう。

昨年の9月頃、《朝日》はまず橋下徹氏へのインタビューを掲載。1回目の住民投票時に維新の代表だった橋下氏に単独で聞いている。話のキモは、「僅差の勝利なら先送りしていた」と明かしたこと。まあ、負けた上で言っていることなので、信じる必要はない話だが、2回目をやる理由としてはなかなかに強力なロジックにも思える。

《朝日》はその後の6日付けで、市長選で敗れた元自民党市議の柳本顕氏、橋下氏を何度も取材しているジャーナリストの田原総一朗氏、都構想に一貫して反対し続けている共産党の大阪市議団長、山中智子氏の3人に意見を聞いている。柳本氏は、都構想を「分断と対立、不公平を生む可能性がある」と批判、田原氏は、選挙に連勝中の維新への支持は「単なる期待感に過ぎない」と斬って捨て、山中氏は都構想には「百害あって一利なし」と断じている。

11月。《朝日》の大阪社会部は『ポスト橋下の時代』と題する書籍を発表。維新が橋下引退後も圧倒的な強さを見せる秘密などに迫る取材記録をまとめている。12月には府と市の法定協議会が2025年に大阪市を廃止するなど、構想の具体案を決定したことがニュースになった。ここらあたりから、記事には、「大阪市をなくして4つの特別区に再編する大阪都構想」という言い方が使われるようになる。住民投票は11月実施の方向に。

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