菅“首相”へ。貴殿の政策では日本のスマホが中国より「2周遅れ」になる

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次期首相が確定したと目される菅義偉官房長官の発言で、スマホ業界に激震が走っています。そう、もはや菅氏のキャッチフレーズともいうべき「携帯電話料金の値下げ」発言のことです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイジャーナリストの石川温さんが、菅氏が13年に渡って繰り返す「値下げ」発言に疑問を呈しつつ、「値下げ」よりも早く取り組むべき内容について記しています。

菅“次期首相”が記者会見で「携帯電話料金」に言及━━「値下げ」よりも「5G成長戦略」に期待

先週後半、スマホ業界関係者から挨拶よりも先に出る言葉といえば「菅さん」だ。菅義偉官房長官が自民党総裁選に立候補。ダムの洪水対策の次に携帯電話料金の引き下げに言及したのを受け、業界では激震が走っている。

菅官房長官といえば、2007年に総務省によるモバイルビジネス研究会で議論が行われていた際の総務大臣だったりする。

2015年、安倍晋三首相が携帯電話料金の値下げに言及。さらに2018年に自ら「日本の携帯電話料金は国際的にも見ても高すぎる。4割値下げできる余地がある」と発言。振り返ってみれば、13年近く、携帯電話料金の引き下げに首を突っ込んできたことになる。

ただ、総務大臣として、競争環境を作っていこうと尽力するのは理解できるが、官房長官、さらには一国の首相という立場で、特定の業界について、民業圧迫のプレッシャーをかけるというのは理解に苦しむ。むしろ、首相であれば、通信業界の成長戦略を描く方に舵を切るべきではないか。

日本では、昨年10月の改正電気通信事業法と新型コロナウイルス騒動によって、5Gスマホの契約台数はNTTドコモで8月1日現在、24万件。KDDIとソフトバンクは公表すらできない数字のようだ。

一方、中国といえば、すでに8000万を超える5Gスマホが販売されており、年内にも1億台を超えるペースなのだという。お隣、韓国も、すでに500万台近い5Gスマホが売れている。

これだけ5Gスマホが普及すれば、ネットワークもNSA(ノンスタンドアローン)からSA(スタンドアローン)への切り替えが早まることは間違いない。SAになることで、5Gを導入するメリットがさらに生かせるだけに、中国は一気に5G大国となり、様々な産業でデジタルトランスフォーメーションが起こるのではないか。

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